足場工事における悩み沢山がつきものです!
足場の工事を計画しているのだが、工事で発生するケガや近隣住人とのトラブル!!また現場で起きる盗難!!!
足場の工事をしているあなたには、いつもこのような心配があるのではないでしょうか??

建設現場で欠かせない「足場工事」。高所作業を支える足場は、作業員の安全確保はもちろん、第三者や近隣住民に対してもリスクをはらんでいます。
こうしたリスクに備える上で欠かせないのが足場工事に関係する「保険」です。
この記事では、足場工事に関わる業者が知っておくべき保険の種類、補償範囲、火災保険との関係、実務上の注意点までを、徹底解説します。
足場工事に潜む主なリスクとは?
足場工事に伴うリスクは多岐に渡ります。主なものは以下の通りです:
通行人や第三者への怪我や損害
足場材の落下、崩壊による物損
風災、火災、盗難など自然災害・人的被害
近隣住民とのトラブルやクレーム
これらのリスクは、現場の安全管理だけでは完全に防ぎきれないこともあり、保険によるリスクマネジメントが極めて重要です。

足場工事業者が加入すべき主な保険の種類
請負業者賠償責任保険、PL保険
足場工事中に発生した第三者への損害(人身・物損)を補償する保険です。たとえば足場が倒壊して隣接する建物を損壊させた、通行人に怪我を負わせた、といったケースに対応します。業者にとっては最低限加入すべき保険といえるでしょう。請負業者賠償責任保険は、工事中の事故が補償の対象の対象となりますが、PL保険の場合は工事完了後に生じた事故が対象という点が違います。
労災上乗せ保険(労働災害総合保険)
通常の労災保険だけでは不十分な場合に備え、死亡や後遺障害時の補償を手厚くするための保険です。高所作業の多い足場工事では、社員の安心を守るためにも導入が推奨されます。
労災上乗せ保険(労働災害総合保険)とは?
労災上乗せ保険とは、業務中の事故や疾病に備える公的な労災保険を補完するための民間の任意保険です。
建設業や足場工事業のように、高所作業や危険を伴う現場では、万が一の事故が発生した場合の補償をより手厚くする目的で導入されることが多く、従業員の安心と企業の信頼性を高める保険として注目されています。
この保険には主に2つの側面があります。
1,従業員への補償強化
公的労災保険ではカバーしきれない死亡・後遺障害・入院・通院に対する**追加給付(上乗せ給付)**が行われます。
作業員本人や遺族への見舞金や慰謝料、生活費支援などが支払われるため、現場で働く作業員にとっての安心材料となります。
2,企業の損害賠償リスクへの備え
労働災害が発生した際、企業が労働者への「安全配慮義務」を十分に果たしていなかったと判断された場合には、損害賠償責任を問われるリスクがあります。
労災上乗せ保険の中には、このような場合に備えて企業の法的責任に基づく損害賠償金や訴訟費用などを補償するプランもあります。
たとえば、足場からの転落事故で作業員が重傷を負った場合、公的な労災保険から治療費や休業補償が支給されますが、それだけでは生活費や精神的な損失を十分にカバーできないこともあります。そのようなケースでも労災上乗せ保険があれば、見舞金や慰謝料の支払いが可能となり、本人や家族を経済的・心理的にサポートできます。
このように、労災上乗せ保険は**従業員と企業の両方を守るための“二重のセーフティネット”**として、足場工事をはじめとした危険の伴う現場では非常に重要な保険です。
建設工事保険
足場材や仮設機材が火災、盗難、風水害、いたずらなどによって損害を受けた場合に補償される保険です。物価高騰の影響で足場資材の価値も上昇している今、導入する業者が増えています。
例えば主に以下のような物的損害が対象です!
損害の種類 | 具体例 |
---|---|
建設中の建物の損害 | 建築中の住宅が台風で倒壊した、火災で一部焼失したなど |
足場・仮設資材の損害 | 台風や強風で足場が倒れた、盗難で資材がなくなったなど |
工事用機械・工具の損害 | クレーンが転倒、電動工具が落下・故障など |
建設工事保険は元請・工務店が加入するイメージが強いですが、足場業者にも非常に有効な保険です。
- 足場材は高価かつ盗難・破損リスクが高い
- 風災や火災で倒壊する可能性がある
- 設置中に破損した際の補填が必要になる
特に昨今は資材費の高騰により、足場材の損害リスクがそのまま会社の損失に直結しやすくなっています
自社資材を多く現場に持ち込む業者(足場業者、仮設設備業者)
台風・火災リスクが高い地域で作業する会社
資材・構造物の破損や盗難に備えたい業者
施設賠償責任保険
工事終了後に設置された足場が原因で発生する事故(通行人の転倒など)に備える保険です。長期間設置される足場には必須といえます。
足場などの仮設物は、設置後にもしばらく現場に残るため、事故が発生するリスクも残ります。
請負業者賠償責任保険だけではカバーしきれないこのリスクに備えるため、施設賠償責任保険の加入を検討することで、より万全なリスク対策が可能になります。
保証されるケースの具体例
発生状況 | 補償対象となる例 |
---|---|
足場設置後に発生した事故 | 足場の端材につまずいた通行人がケガをした 足場を長期間設置する現場で、通行人の通路に一部足場が干渉 |
設置した設備が原因の損害 | 組立後の足場が強風で一部崩れ、隣家のガラスを割った |
現場周辺での思わぬ事故 | 作業車両が通行人に泥をかけて衣服を汚した 足場周囲の看板や安全幕が外れて人に当たった |
「設置後」にも事故のリスクは残るため、工事完了後のリスク管理には欠かせない保険です。
他の保険との違い(簡易比較表)
保険の種類 | 対象事故の発生時期 | 主な補償対象 |
---|---|---|
請負業者賠償責任保険 | 工事中 | 第三者のケガや物損 |
労災上乗せ保険 | 工事中(従業員) | 作業員本人のケガや死亡 |
建設工事保険 | 工事中 | 工事対象物・資材の損壊 |
施設賠償責任保険 | 設置完了後 | 通行人・近隣への被害 |
施設賠償責任保険が向いている業者
仮囲いや看板などを設置・管理する業者
完了後の設備が近隣に影響を及ぼす可能性がある業者
不特定多数の通行人がいる市街地の現場を多く扱う業者
賠償責任一括保険(事業総合賠償保険)
上記の賠償保険を包括的にカバーできる保険で、管理コストや手続きの手間を削減できます。複数現場を管理する中堅〜大手業者に適しています。
事業総合賠償責任保険で補償されるケース
分類 | 具体例 |
---|---|
製品・作業起因の事故(PL責任含む) | 納品した足場材の欠陥により事故が発生 |
業務遂行中の事故 | 工事現場で通行人にケガを負わせた(作業中の事故) |
施設起因の事故 | 倉庫の配線トラブルで火災が起き、隣接施設に延焼 |
工事完了後の事故 | 設置後の足場の一部が外れて物損やケガを発生させた |
通常保険との違い
保険の種類 | 補償範囲 | 特徴 |
---|---|---|
請負業者賠償責任保険 | 工事中の第三者損害 | 工事に特化した保険 |
PL保険(製造物責任) | 製品引渡し後の損害 | 製品由来の事故に限定 |
施設賠償責任保険 | 施設起因の事故 | 設置後・営業施設など |
事業総合賠償責任保険(GL/CGL) | 上記すべてを一括補償可能 | 包括的で管理がラク |
足場工事業者にとってのメリット
足場業者や建設会社は、さまざまな現場・作業・人・設備を扱うため、事故原因が一つに限定されないことが多いです。
事業総合賠償責任保険なら、それらのリスクを一つの契約で包括的に管理できます。
補償の抜け漏れを防げる
保険管理がシンプルになる
保険料の一括調整が可能になることも
現場の多い中規模以上の業者には特におすすめ
火災保険で足場代も補償される?火災保険と足場代の関係
リフォーム時の火災保険を活用することで、足場代が補償されるケースがあります。以下の条件を満たす必要があります:
補償対象となる条件
- 原因が火災、落雷、風災、雹災など保険対象災害であること
- 修復工事に足場が必要であること
- 足場費用が修繕見積に明記されていること
注意点と防止策
- 約款の内容を事前に確認
- 書面で保険会社に確認
- 見積書と現場写真の添付
- 足場工事の明細を独立記載しておく
トラブルを避けるには、契約前の丁寧な情報共有と記録管理が肝心です。

保険の比較表とチェックリスト
保険名 | 補償内容 | メリット | 注意点 |
請負業者賠償責任保険 | 第三者への損害 | 必須レベル | 加入漏れに注意 |
労災上乗せ保険 | 作業員の補償 | 手厚い補償 | 保険料が高め |
建設工事保険 | 足場材の損壊・盗難 | 自然災害にも対応 | 補償範囲の確認必須 |
施設賠償責任保険 | 工事後の事故 | 継続リスクに対応 | 現場条件の精査必要 |
一括賠償責任保険 | 総合的な補償 | 保険管理が楽 | 内容が複雑 |
保険選びのチェックリスト
以下のチェックリストを考えてみてください!!
免責事項と補償範囲は明確か?
火災保険と組み合わせた節約は可能か?
保険会社の事故対応力は十分か?
専門家との相談・見直しを行っているか?
まとめと実務者へのアドバイス
保険を検討する貴方の立場は?
- 足場工事業者の経営者・安全責任者
- リフォーム業者
- 屋根・外壁修理の業者
- 元請け業者・ゼネコン
- 火災保険申請をサポートする代理店
アドバイス:
- 保険加入は「万が一」だけでなく、取引先への信頼確保の手段です
- 見積提出時に「保険加入証明書」を添えると安心されやすい
- 年1回の見直しで過不足のない補償状態を保つ
- 火災保険の活用は施主の費用負担を大きく減らす可能性あり

足場工事においては、リスクの洗い出しと保険による備えが、安全確保と経営の安定に直結します。
特に請負業者賠償責任保険と労災上乗せ保険は「必須級」。そこに建設工事保険や施設賠償責任保険を加えることで、より強固なリスクマネジメントが実現できます。
また、火災保険をうまく活用することで、顧客側の費用負担軽減や契約獲得にも繋がります。
専門家のアドバイスを受けつつ、最新の事例や法改正も反映させた保険選定が重要です。