はじめに
そんな不安を抱えている現場の監督さんや職長さんに向けて、この記事では最新の法令に基づき、作業床や手すりに関する安全基準をQ&A形式でやさしく解説します。

Q1. 作業床の幅や隙間には、どんな基準があるの?
労働安全衛生規則 第563条によると、以下のように定められています。
- 幅:40cm以上
- 床材の隙間:3cm以下
- 床材と建地の隙間:12cm未満(※隙間からの落下防止策も必要)
また、現場でよく見られるメッシュシートや防網を併用することも推奨されています。
Q2. 手すりの高さや設置方法って決まってるの?
はい、明確な基準があります。
- 高さ85cm以上の「上さん(手すり)」
- 高さ35〜50cmに「中さん(中桟)」
- 高さ10cm以上の「幅木(落下防止用)」
※手すりや中桟は「丈夫な棒状の部材」が必要で、ロープなどの柔軟素材は不可です。

Q3. 足場の組立て時に気をつけるべきことは?
第564条では、以下のポイントが挙げられています。
- 作業前に「時期・範囲・順序」を作業員に周知
- 関係者以外の立入禁止
- 強風・大雨などの悪天候時は作業中止
- 緊結や受渡し作業時は、40cm以上の作業床+フルハーネスの使用が原則(困難な場合は例外あり)
Q4. 現場が狭くて規定どおりの幅が取れません…どうすれば?
そんな時は代替措置が可能です。
- メッシュシート、防網、床付き幅木などを使用して安全を確保
- 記録として残し、なぜ例外的にそうしたのか理由を明確にしておくのが大切です
Q5. 古い足場、改正後も使っていいの?
基本的には是正が必要ですが、経過措置や例外もあります。
法改正(令和6年施行)前に組まれた足場は、現場の状況に応じた柔軟な読み替えが求められます。
Q6. 監督署によって指摘が違うって本当?
はい、あります。だからこそ“根拠のある対策”が重要です。
これらを参考にして、自信を持って対応できるようにしましょう。
Q7. 関連記事もありますか?
はい、内部リンクでシリーズ化しています。
- 【2025年改正対応】足場の労働安全衛生法571条の完全解説|現場監督・足場業者必見
- 【2025年版】足場点検の完全ガイド|現場監督・職長のための実務&法的チェックリスト
- 足場図面の描き方 2 立面図 くさび足場 その1 簡単編
- 仮設工業会の技術指針 “法律ではない”けど守らないと訴訟リスク?現場監督、図面作成者も必読!
まとめ|“数字”より“安全意識”を大切に
作業床や手すりに関する法令は、現場の命を守るためにあります。大切なのは数字を丸暗記することではなく、「なぜこの基準があるのか」を理解し、現場の状況に合わせて正しく運用することです。
本記事が、現場の安全対策において“価値ある情報源”となれば幸いです。
この記事は厚生労働省通達・改正省令(令和6年4月施行)および各種説明会資料をもとに編集しています(2025年6月現在)。

使用した出典・公式サイトリンク
以下が、この記事の記述の根拠・出典です。
厚生労働省 公式規則・省令(改正対応)
労働安全衛生規則(第563条・564条)全文
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-1-2h10-0.htm
→ 作業床の幅や手すり高さの数値基準を記載【第563条】【第564条】に基づく令和6年施行 改正に関する通達・解説
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-56/hor1-56-5-1-0.htm
→ 最新改正の具体的な運用や「例外規定」について
説明会資料・官製パンフレット
👤この記事を書いた人
ISHIDA DESIGN OFFICE 代表 I.D.O 足場組立等作業主任者/仮設設計技術者
仮設計算歴30年以上。建設現場での足場設計・点検・安全管理業務に従事。
現在は仮設設計と安全な工事にアドバイスをしている