この記事はこんな方におすすめ
- クサビ足場の部材名や寸法を正確に把握したい方
- 現場で使う部材の使い方や役割を確認したい方
- 最新法令に適合する安全な資材選びをしたい方
クサビ足場とは?【2025年最新版ガイド】
クサビ足場(くさび式足場)は、部材同士をハンマーで打ち込むことで連結する足場で、低層〜中層の建設現場で広く使われています。
施工性・作業性・安全性が高く、2024年の法令改正後も主流です。
クサビ足場の部材一覧【名称・寸法・用途ガイド】
部材名 | 標準寸法例 | 主な用途 | 備考 |
---|---|---|---|
支柱(直立材) | 0.9m / 1.2m / 1.8m / 2.4m | 垂直方向の構造支持 | 高さ調整に合わせ選択/支柱の「コマピッチ(段差)」には450mmと475mmの2種類が存在。異なるメーカー間では互換性に注意。 |
踏板(鋼製) | 400×600〜1,800mm | 作業床 | 40cm幅は法令適合(改正対応)。最短600mmから存在し、小規模・狭小エリアにも対応。 |
手すり | 0.6m / 0.9m / 1.2m / 1.5m / 1.8m | 転落防止 | 上下2段設置が義務化 |
筋交い | 斜材:標準1.8m | 揺れ・横揺れ防止 | 法令では支柱間2.0m以下必須 |
ジャッキベース | 300×300mmなど | 地盤調整・高さレベル調整 | 枠組足場用は高さ調整350mm以下、くさび式足場用は最大500mm以下が許容範囲 設置面の安定性に関与 |
ブラケット | 400mm〜600mm | 外側張出し支持 | 内部作業時に有効 |
先行手すり | 各種 | 組立・解体時の落下防止 | 2024年より設置義務化 |
支柱コマ間隔(ピッチ)はメーカーにより450mmと475mmがあり、組み合わせ誤差による事故防止のため必ず同一規格で統一してください。

主要部材の配置と使い方
- 支柱:垂直構造の基礎。高さは建物に合わせて選定。コマピッチに注意。
- 踏板:作業者が立つ床。法令で40cm以上が義務化。最短600mmから存在し、狭小現場にも有効。
- 手すり:上下2本で設置。高さ85〜95cm。
- ジャッキベース:地面の傾斜や段差を吸収。
- ブラケット:作業スペースの延長に使用。
- 先行手すり、手すり:組立・解体中の墜落防止。必須!
※水平方向の部材長さ(支柱間ピッチ)は**インチサイズ(約914mm)とセンチサイズ(約900mm)**の2規格が存在。互換性がないため、同一システムでの統一使用が原則です。

クサビ足場の規格サイズと適用基準まとめ【最新2025年版】
クサビ足場のタイプ別ガイド:A・B・Cタイプとは?
クサビ式足場には、製品形状や規格が異なる 3タイプ(A・B・C) があります。それぞれの特徴を理解し、現場に適した仕様を選ぶことが安全・効率に直結します。
タイプ比較一覧
タイプ | 主な製品名とメーカー | 支柱ピッチ | スパン高さ | 特徴 | 互換性 |
---|---|---|---|---|---|
Aタイプ(キャッチャー型) | 信和 キャッチャーAタイプなど | 450mm | 1,800mm | クサビポケット付き踏板/施工・解体が早く、国内で最も普及 | 多くのA互換品あり |
Bタイプ(ビケ型) | ダイサン・ビケ足場/平和技研 ビルダーアルファ | 475mm | 1,900mm | 横揺れが少なく安全性高いが、打ち込み作業が増える | A互換少ない |
Cタイプ(セブン型) | 三共 セブン足場/信和 キャッチャーCタイプ | 450mm | (Aタイプに近い) | クサビが薄型・軽量で取り扱いやすいが、揺れが大きく価格高い | 互換性限られる |
詳細解説
1. Aタイプ(キャッチャー型)
- 特徴:踏板・ブラケットにクサビポケット付きで施工性◎、クサビスパンは標準。
- メリット:施工・解体がスピーディで、国内の互換品多数。コスト面・納期の面でも強み
2. Bタイプ(ビケ型)
- 支柱ピッチ:475mm(Aより25mm広く、スパン約100mm高くなる)
- 特徴:低層住宅向けに設計され、横揺れが少なく安全性が高い
- デメリット:打ち込み回数が増え、価格もやや高め
3. Cタイプ(セブン型)
- 特徴:薄型クサビで重量が軽く、使いやすいが横揺れがやや大きい
- 用途:軽量・少量での使用向き、新規導入にはやや不向き
どのタイプを選ぶべきか?
- 短期小規模・コスト重視 → Aタイプがベスト。国内互換が豊富で扱いやすい
- 安全性重視・低層住宅中心 → Bタイプ。揺れが少なく安定した足場
- 軽さ重視・特別な軽作業 → Cタイプ。ただし揺れや価格には注意

主要メーカーごとの規格比較(例)
メーカー名 | 支柱ピッチ | 水平ピッチ | 備考 |
---|---|---|---|
日建リース工業(ダーウィン) | 450mm | 約914mm | 高強度設計のダーウィンシリーズを展開、公共・民間問わず多くの採用実績 |
ALINCO(アルインコ/アルバトロス) | 475mm | 約914mm | アルバトロスは軽量・高剛性・組立性のバランスに優れ、狭小地や高層現場でも扱いやすい |
ダイサン | 475mm | 約900mm | 支柱ピッチ475mmで高い安定性を実現、水平剛性に優れ施工性も高い |
KRH株式会社 | 450mm | 約900mm | 支柱ピッチ450mm・水平ピッチ900mmで国内現場との互換性が高く、IQ足場は強度・施工性・現場対応力に優れる |
※上記は一例であり、同一メーカー内でも製品ラインによって差異がある場合があります。
最新法令で求められる部材仕様(2024年改正対応)
要件 | 内容 |
---|---|
作業床幅 | 40cm以上(旧30cm→改正) 第564条第5項・第570条(布板の設置基準) |
手すり高さ | 85〜95cm、上下2段 第565条第1項、厚労省通達による仕様明示(技術的助言) |
支柱間隔 | 2.0m以内 仮設工業会「技術基準(認定編)」に準拠、 法律上は「適切な構造」義務として規定(第570条) |
先行手すり | 義務化(第546条の2/新設条文) 第546条の2(新設・2024年改正):高さ2m以上の足場には先行手すりの設置が義務 |
古い部材を使うと法令違反・是正指導の対象になる可能性あり。

実務で注意すべきポイント
- 寸法ミスに注意:支柱コマピッチや水平ピッチの違いによる施工ミスに注意
- 部材の組み合わせ:互換性がないメーカー同士の混在はNG
- 点検記録の保存:法令適合確認と事故防止のため、検査表は保管必須

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先行手すりの重要性と選び方
先行手すりは、足場の組立・解体時の墜落防止を目的とし、2024年の法改正で設置が義務化されました。使用者が安全帯を装着して足場内に入る前に、水平部の手すりが既に設置されている必要があります。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
対象作業 | 組立・解体時すべて |
対象足場 | 枠組足場・クサビ式足場を含む全ての仮設足場 |
要件 | 落下防止措置として先行手すりの使用義務 |
注意点 | 中古資材や古い仕様では対応不可の製品もあるため確認要 |
「先行手すり対応可」の表示がある部材、または仮設工業会の適合一覧での確認を推奨。
【部材購入・レンタル時のチェックリスト】
- 部材名称・サイズが明記されているか
- 適合ステッカー・認証マークの有無
- 法令準拠した設計か(例:先行手すりの設置可能性)
- 中古購入時は錆・歪み・破損を確認
- 施工指導・設置マニュアルがあるか
- 支柱コマピッチと水平ピッチが一致しているか確認
- 先行手すりの有無と設置対応が取れているか

よくある質問(FAQ)
→ 支柱には450mmピッチと475mmピッチの2種類があります。異なる規格の混在は重大事故の原因になります。
→ はい。**インチ規格(約914mm)とメートル規格(900mm)**があり、メーカー間で互換性がありません。
→ はい。基本的には2024年4月以降、組立・解体を行うすべての現場で義務化されています。
→ 日建リース工業、ALINCO、ダイサン、KRH(IQ足場)などの主要メーカーが対応製品を販売・レンタルしています。
【まとめ】クサビ足場部材の理解が安全・効率・収益性を左右する!
- 各部材の名称・寸法・用途を把握して選定ミスを防ぐ
- 最新法令(2024年改正)に適合する資材の使用が必須
- 支柱ピッチや水平寸法の規格統一と互換性確認が重要
- 購入・レンタルどちらでもチェックリストを活用し、安全・収益性の高い施工を実現しましょう!
法令適合資材の導入相談は、仮設工業会加盟業者やメーカーへ!
👤この記事を書いた人
ISHIDA DESIGN OFFICE 代表 I.D.O 足場組立等作業主任者/仮設設計技術者
仮設計算歴30年以上。建設現場での足場設計・点検・安全管理業務に従事。
現在は仮設設計と安全な工事にアドバイスをしている