この記事の要約
くさび緊結式足場は、その組立てや使用において明確な積載荷重の制限が法律・技術基準によって定められています。
本記事では、2025年最新の労働安全衛生法および仮設工業会の指針に基づき、「積載荷重」の定義、制限、注意点、安全対策、そして表示義務までを徹底解説します。現場の事故を防ぐための必須知識を、現場監督や作業者、設計担当の皆様に向けて提供します。
クサビ足場とは?
くさび緊結式足場とは、ハンマーなどで打ち込む「くさび型」の金具によって部材を接続する足場構造で、住宅・ビル工事の現場で広く用いられています。
【特長】部材が軽量で組立てが迅速、安全対策との相性も良好

積載荷重とは?なぜ重要なのか?
積載荷重とは、足場の作業床に積むことが許される最大荷重のことです。これは人員・資材を含めた重さであり、過剰な荷重は倒壊事故を招く危険があります。
なぜ重要か?
作業者の命を守る
法令違反による現場停止・罰則のリスク回避
【最新版】積載荷重の基準表
『くさび緊結式足場の設計』および『技術基準』に基づく最新の積載荷重は以下の通りです:
条件 | 最大積載荷重(1層1スパン) |
同一層連続スパンに載荷 | 250kg |
同一層連続スパン以外の載荷 | 400kg |
幅500mmの床付き布わく(2枚) | 250kg × 2 = 500kg |
※上記は、仮設工業会の定める床付き布わくの許容積載荷重(幅ごとに120kg〜250kg)を超えない範囲での値です。

実例で学ぶ:積載荷重の計算と注意点
以下の例を考えてみよう!
- 連続スパン:250kg(1スパン)
- 非連続スパン:400kg(1スパン)
- 床付き布わく2枚:250kg×2=500kgが上限
足場の設置方法と図解はこちら
労働安全衛生法と技術基準(2024〜2025年改正対応)
- 高さ31m以下の足場:くさび足場の使用が認められる範囲
- 積載荷重の表示義務:2024年法改正により現場表示が義務化
- 最大積載荷重超過は、行政指導・罰則の対象にもなりうる
積載荷重に関するよくある誤解とリスク
間違い1 床材の許容荷重=足場全体の許容ではない
間違い2 作業者1人の体重分だけなら安全、という過信
足場の積載荷重は、「作業者の体重」だけでなく、作業中に持つ工具・材料・部材の重量も含めて計算されています。
間違い3 材料置き場として長時間荷重をかける運用
正解:”構造全体の積載計画”と”設計荷重の遵守”が不可欠

積載荷重の表示義務と現場での運用
- 表示位置:作業床や出入口付近が推奨
- 表示例:「最大積載荷重 250kg/スパン」
- 管理方法:記録・写真・チェックリストをGoogle DriveやNotionで管理
- GA4と連携して作業実績や点検履歴をイベントデータとして活用

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FAQ:よくある質問と回答
A. 同一層連続スパンに載荷する場合は250kg、非連続スパンでは400kgが上限です。ただし、床付き布わくの幅による許容荷重(最大500kg)を超えないよう注意してください。
A. はい、2024年以降の法改正により、足場の積載荷重は作業現場に明示することが義務付けられました。
A. 長時間の荷重集中や偏荷重は、構造破損や倒壊の原因となるため、必ず設計値内で一時的に限定して使用してください。
A. 保険の適用には「適正な管理」が前提です。積載基準違反による事故は免責となる可能性があるため、正しい積載管理が重要です。
まとめ:くさび足場の安全な運用へ
積載荷重は”数値”で明確に定められており、違反は安全事故や法的責任につながります。
本記事を参考に、積載荷重の基準・表示・運用をしっかり押さえ、安全で信頼性の高い現場づくりに取り組みましょう。
👤この記事を書いた人
ISHIDA DESIGN OFFICE 代表 I.D.O 足場組立等作業主任者/仮設設計技術者
仮設計算歴30年以上。建設現場での足場設計・点検・安全管理業務に従事。
現在は仮設設計と安全な工事にアドバイスをしている