はじめに

結論から言います。クサビ足場は「規格の統一」と「適用基準の順守」だけで現場トラブルの7〜8割が減ります。
理由は3つ。
② 2025改正で本足場や点検記録が強化
③ 手すり・中さん・幅木の欠落は一発アウト。
この記事は、サイズ早見表+適用基準を“現場で使う順”に並べ直しました。私が監修案件で指摘された実例も随所に差し込み、机上で終わらないようにしています。
私はISHIDA DESIGN OFFICEで、毎日足場の仮設図を描いています。
先週の現場では、1829mm(インチ規格)と1800mm(センチ規格)が混ざっていて、支柱の間隔が合わずに一からやり直しになりました。
図面上では気づきにくく、現場で発覚したときは本当に焦りました。
最終的に巻尺で全て実測し、納入書を確認して規格を確定。あの確認作業は正直、地獄でした。
前提と用語について
この記事では、**くさび緊結式足場(住宅〜中低層の新築・改修現場)**を対象にしています。
ただし、現場ごとに地盤・構造・天候などの条件が異なるため、最終的な判断は必ず施工計画と元請との協議で行ってください。
足場の組立て・解体・変更に関わる作業は、特別教育を受けた作業者が、有資格者の監督下で行うことが原則です。
私の現場でも、以前、教育を受けていない新人が入ろうとしたことがあり、すぐに作業を中止し教育を手配しました。
そのおかげで事故を未然に防ぐことができ、本当にほっとしました。
安全は、ひとり一人の判断と準備から生まれるものです。
法令や指針に基づき、常に安全を最優先に進めましょう。
対象・原則まとめ
対象:くさび緊結式足場(住宅〜中低層中心、改修含む)
資格・教育:足場の組立て等作業には特別教育が必要(地上での単純補助を除く)
判断の原則:
安衛則・厚生労働省通知・仮設工業会指針・メーカー仕様に整合させること
現場条件は都道府県労働局の指導および元請協議を前提とする
規格サイズの基本

クサビ足場には「センチ規格」と「インチ規格」の2種類があります。
見た目はほとんど同じですが、実際には数センチの差があるため、混ぜて使うと非常に危険です。
例えば、先週の現場では踏板が1829mm(インチ規格)、手すりが1800mm(センチ規格)。
わずか29mmのズレで緊結部分が噛み合わず、全部やり直しになりました。まさに地獄でした…。
● センチ規格とは
日本の現場向けに作られており、300mmごとに統一されています。
(例:1800/1500/1200/900/600mm)
● インチ規格とは
海外の規格で、6フィート=1829mm、4フィート=1219mm、2フィート=610mmなど。
海外製や輸入品の足場で見られます。
● なぜ混ぜてはいけないのか
寸法の違いによって緊結部がずれたり外れたりし、
→ 踏板の脱落
→ 手すりのガタつき
→ 墜落・落下物事故
につながる危険があります。
● 見分けるコツ
巻尺で実測する(1800mmか1829mmか確認)
納入書に記載された規格名をチェック
部材の刻印・メーカー名を確認
● 最後に必ず確認すること
仮設工業会の認定基準とメーカー仕様書を照らし合わせて、同一規格かどうかを確認してください。
仮設工業会の技術指針でも、**「混用は禁止」**と明確に警告されています。
適用基準と2025改正ポイント(本足場・作業床幅・手すり類)
■ 本足場の義務化(幅1m以上の場所)
幅が 1mを超える場所 では、必ず本足場を設ける 必要があります。
これは2025年の法改正で新しく追加されたルールです。
これまでは「渡り」として簡易的に組むケースが多くありましたが、今後はそれが認められません。
「幅1mを超えたら本足場」というのが原則です。
※ただし、つり足場など構造的に設置が難しい場合のみ例外 です。
(参考:国土交通省トンネル施工基準)
■ 作業床の幅と隙間
作業する床板の幅は 原則40cm以上 が必要です。
もし現場の構造上どうしても40cmが取れない場合は、防網などの安全措置 をとれば代替できます。
また、床板と支柱(建地)のすき間は 12cm未満 に抑えるのがルールです。
(参考:厚生労働省 労働安全衛生規則)
■ 手すり・中さん・幅木の基準
作業床の外側には、次の3つをセットで設置 します。
手すり:高さ85cm以上
中さん:手すりから35〜50cmの位置
幅木:高さ10cm以上(または同等の防網)
これらは「わく組足場」だけでなく、クサビ式足場でも必須 です。
人や工具の落下を防ぐための最低限の安全装備です。
(参考:厚生労働省 通達)
■ 規格の混用は絶対NG
センチ規格(1800mmなど)とインチ規格(1829mmなど)を混ぜて使うと、
わずか数ミリのズレが緊結不良を起こし、脱落や転落事故の原因 になります。
現場では必ず次の3つで確認しましょう。
巻尺で実測(1829mmや1219mmなどが混ざっていないか)
納入書にある規格名をチェック
部材の刻印(メーカー名)を確認

■ 適合証明の確認
使用している足場材が 仮設工業会の認定基準とメーカー仕様に適合しているか を確認してください。
特に異なるメーカーの部材を混ぜると、安全認定が無効 になるおそれがあります。
仮設工業会の技術指針でも「混用禁止」が明確に示されています。
現場監理者としての一言
私の監理現場でも、「幅1m未満だから渡り扱いでOK」と誤解されることがありました。
でも、“渡り”扱いで書類を出してしまうと、安全基準違反になることもあります。
図面と現場を照らし合わせて、しっかりと「本足場」として組みましょう。
もやもやしていた判断基準が、これでスッキリするはずです。
施工手順の要点と禁止事項
ポイントまとめ
足場を組むときは、まず 水平・直角・しっかり締めること(トルク) を最優先にします。
支柱の間隔(ピッチ)は必ずメーカー仕様の範囲におさめましょう。
また、「先行手すり」や「ジャッキベース+敷板」 の設置を忘れずに行うことが大切です。
私の現場でも、敷板を使わなかったためにジャッキが地面に沈み、足場がゆがんでしまいました。
その是正に半日かかり、回送も増えて原価がじわっと上がりました。
たった1枚の敷板が、大きなコスト差になる ― ここは要注意です。
標準的な作業の流れ(抜粋)
地盤の確認 → やわらかい場所がないか確認。
ジャッキベース+敷板 を正しく設置。支柱を建てる → 水平(レベル)と直角を墨出しでしっかり確認。
緊結(しっかり締める) → 適正トルクで部材を固定。
そのあと 布材→踏板→先行手すり の順に組立。手すり・中さん・幅木を設置 → 落下防止。開口部には 防網またはメッシュ。
養生(メッシュシート) → 作業完了後に 最終点検と掲示 を行う。
🚫 禁止事項・是正対応
規格の混用は禁止。
センチとインチを混ぜて使っていたら、すぐに区画を止めて同一規格で再組立。支柱ピッチの超過はNG。
仕様より広い場合はスパンを短くするか補強を入れる。踏板の片支持や破損は交換。
ぐらつく踏板は即取り替え。強風・雨・凍結時は作業中止。
特に風速の予報をチェックし、前日の時点で判断できるようにルール化。
「水平」「直角」「敷板」「手すり」。
この4つを守るだけで、安全・スピード・コストがすべて安定します。
“あたり前”をていねいに積み上げる――それが一番の事故防止策です。

点検・記録・教育
2024〜2025年にかけて、足場の点検ルールがより厳しくなりました。
とくに重要なのは「点検した人の名前を明確にすること」と「その記録をしっかり残すこと」です。
つまり、「誰が・いつ・どの区画を・どう確認したか」を書面で残し、引き渡し前に点検票や是正(修正)記録を提出できるようにしておく必要があります。
都道府県労働局の監査では、この提出までを見越して準備しておくことが求められます。
ある現場では、
2、点検日
3、点検した区画
4,是正が終わった印
これらを1枚の点検票で完結できるようにしています。
そのおかげで監督さんが**「これで安心ですね」とほっとした顔**を見せてくれたことを、今でもよく覚えています。
提出すべき書類の例
組立・一部解体・変更後の点検記録(点検者氏名・日付を記録)
適合証明書・社内点検票・写真台帳(撮影日時や区画を明記)
教育関係の記録(特別教育修了証・TBM/KYミーティング記録など)

部材一覧・仕様・互換
要約:
メーカーが違う足場部材は、混ぜて使ってはいけません。
「許容荷重(どこまで重さに耐えられるか)」は、仮設工業会の認定基準とメーカーの仕様書で確認し、
その数値を現場に掲示しておくことまでがセットです。
互換性(混用禁止):
くさび足場はメーカーごとに微妙に形や寸法が違うため、
違うメーカーの部材を一緒に使うと緊結がズレて脱落の危険があります。
仮設工業会の基準でも「メーカー混用NG」と明記されています。
→ 同じメーカーの部材で統一するのが原則です。
許容荷重(安全に使える重さ):
使う足場の「許容荷重」は、メーカーのカタログや認定票に書かれています。
そこには「安全率」も含まれているため、その値をそのまま使えばOK。
現場では、作業床1㎡あたりの最大荷重(例:1.5kN/m²=約150kg/m²) を確認しておきましょう。
掲示位置(見やすい場所に):
作業する人がすぐ目に入るように、
2,昇降口付近
3,足場の該当スパンの近く
に「許容荷重」「使用上の注意」を掲示しておくのが実務的で安心です。
実体験(現場の教訓):
以前、戸建ての現場で他社メーカーの踏板が1枚だけ混ざっていたことがありました。
エンドキャップの色が違っていたことで発見できましたが、
その後、全ての部材を一から照合し直すはめに…。
ほんの1枚の混入でも、現場は大混乱になります。まさに「ここが地獄」でした。
ケーススタディ
原因は、最初の入庫の時点で規格が混ざっていたことでした。
つまり、センチ規格(1800mm)とインチ規格(1829mm)の部材が、倉庫の棚で混ざって保管されていたのです。
そこで私は、次の3つの工程でミスの「鎖」を断ち切るようにしました。
搬入時の受入検査:納入書・刻印を確認し、チェックリストに記録。
現場での1スパン実測:組み立て前に1スパンだけ仮組みして、寸法ズレを確認。
この「搬入チェックリスト+1スパン実測」の2ステップを始めてから、
規格混在によるトラブルはほぼゼロになりました。
やっと安心して組み立てに入れるようになり、心からほっとしました。
実際の流れ(現場メモ風)
症状:踏板が1829mm、手すりが1800mmで、クサビの位置がずれて緊結できなかった。
是正:その場で全ての部材を回収し、同じ規格だけに統一して再組立。
再発防止策:
・倉庫の棚を規格ごとに色分けラベル化
・入出庫をバーコードで管理
・搬入時に納入書と寸法の照合+1スパン実測
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FAQ
内部リンク
まとめ
見た目が似ていても寸法が違うので、受入時に必ず実測・照合して確認しましょう。
作業床は40cm以上、さらに手すり・中さん・幅木を忘れずに設置します。
(根拠:国土交通省・厚生労働省の最新指針)
その上で、許容荷重(何kgまでOKか)を現場に掲示しておくと安全です。
(都道府県労働局への提出や監査の際にも有効です)
この記事のチェック表を使って固定化すれば、抜け漏れなく安全管理ができます。
現場の一つ一つの足場には、作業する仲間の命と努力が乗っています。
だからこそ私は、この記事を通して 「安全・コスト・効率」すべてが両立する現場 が一つでも増えてほしいと願っています。
小さな確認や一枚の点検票が、事故を防ぎ、余計な再組立やコストを減らします。
その積み重ねが、結果的に職人も監督も安心して働ける現場をつくります。
この記事があなたの現場の助けになり、
「今日も安全に進めよう」と思ってもらえたなら本当に嬉しいです。
そして、そんな思いに共感してくださる方が、
このブログを通して “ISHIDA DESIGN OFFICEのファン” になってくださったら、これ以上の喜びはありません。
これからも、現場に本当に役立つ知識とツールを発信していきます。
次の記事でもまたお会いしましょう。安全第一で、今日も良い一日を。
参考資料(出典)
- 厚生労働省:労働安全衛生規則 改正概要(作業床40cm以上・隙間12cm未満 等) 厚生労働省
- 国土交通省:安衛則561条の2(本足場義務・幅1m以上)説明資料(R6施行) 国土交通省土地情報提供システム
- 地方労働局(周知資料):点検者の指名・氏名の記録保存(安衛則567・568・655) 都道府県労働局所在地一覧
- 一般社団法人 仮設工業会:くさび緊結式足場の技術基準・認定基準(専用部材の原則) 一般社団法人 仮設工業会
- web.dev(Google):INPがCore Web Vitalsに正式移行(2024/3/12) web.dev
- Google 検索セントラル:March 2024 Core Update と新スパムポリシー Google for Developers
- AdSenseのCPM移行・収益分配見直し(解説記事) 9to5Google
「※最終更新日:2025年11月11日」
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👤この記事の執筆者/監修
ISHIDA DESIGN OFFICE
代表 I.D.O(仮設設計技術者/足場組立作業主任者)
• 建設業歴30年以上、仮設設計・点検・講義実績多数・仮設設計技術者
• 厚労省・仮設工業会の最新基準に基づき執筆
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