はじめに|クサビ足場の壁つなぎ間隔を正しく理解していますか?
「クサビ足場 壁つなぎ 間隔」というキーワードで検索する方の多くは、以下のような悩みを抱えています:
- 現場での壁つなぎ設置間隔に不安がある
- 最新の法改正を知らずに設置している可能性がある
- 枠組足場との違いが曖昧
この記事では、2025年最新の法律・技術基準に基づき、クサビ足場の壁つなぎの必要性・設置基準・間隔の考え方・種類の違いまでをわかりやすく解説します。現場監督・足場設計者・元請担当者の皆様にとって、即実務に活かせる内容となっています。
本記事は仮設工業会「仮設機材の設計基準2015」および厚生労働省の「労働安全衛生規則」に準拠。信頼できる出典と実例をもとに構成しています。
壁つなぎとは?|なぜ必要なのか・どんな働きをするのか

壁つなぎの目的と働き
壁つなぎは、足場と建物本体を固定し、転倒・横揺れを防ぐ命綱のような存在です。特に強風や地震時には、建物からの引き込みがなければ足場が倒壊するリスクが極めて高くなります。

法律に裏付けられた設置義務
労働安全衛生規則第570条により、足場に対して壁つなぎ等による補強を義務化。
仮設工業会の技術基準(2015年版)でも、高さや構造に応じた設置間隔が具体的に明記されています。
事故事例:2012年埼玉県の現場では壁つなぎ未設置により3層の足場が倒壊。人的被害も発生。
壁つなぎの面積と支える力|1本あたりの支える範囲
壁つなぎが支える足場面積は、以下の式で算出されます:
A = 垂直間隔(m)× 水平間隔(m)
例:垂直5m × 水平5.5m = 約27.5㎡。風圧力や積載荷重を計算し、1本の壁つなぎに対する応力を見積もります。
目安として、くさび足場では1本あたり20〜30㎡程度が実用範囲。

クサビ足場の壁つなぎ間隔|技術基準2015と最新法令に基づく具体数値
足場高さ | 垂直間隔の上限 | 水平間隔の上限 |
8m未満 | 4.0m以内 | 6.3m以内 |
8m〜20m未満 | 4.0m以内 | 5.0m以内 |
20m以上 | 3.0m以内 | 4.0m以内 |
※出典:くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準(改訂版) (仮設工業会)
この間隔はあくまで「上限」であり、風圧・建物構造・敷地条件に応じて間隔を縮める設計が安全上求められます。各現場での壁つなぎの計算は状況によって違います。
現場での判断には「設計図・計算書の保存」「写真記録」が法令上推奨されています(厚労省通達2024)。
参考資料 労働安全衛生規則第563条と第564条の整理について 厚生労働省
挿絵と実例が載せられている解りやすい本です。ご参考まで!
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壁つなぎの種類と設置条件
種類 | 適用条件 | 特徴 |
金物式(アンカー) | RC・鉄骨造の建物向け | 高い保持力と確実な施工性 |
単管+クランプ式 | 木造・仮設向け | 柔軟性が高いが耐力はやや低い |
埋込アンカー式 | コンクリートへの施工が可能 | 恒久的で外観の変化が少ない |
ブラケット控え式 | 外壁に穴を開けられない場所用 | 支柱側で支持、敷地制限下で重宝 |
壁つなぎのアンカーには各メーカーから沢山の種類があります。各カタログを参考にしてください。
枠組足場とクサビ足場の違い|壁つなぎ設置の考え方
項目 | 枠組足場 | クサビ足場 |
支柱の強度 | 高い | 中程度 |
設置間隔 | 垂直9m・水平8mまで許容 | 垂直5m・水平5.5mまでが原則 |
組立スピード | 比較的ゆっくり | 早い |
用途 | 中高層建築向け | 戸建て・低層向け |
クサビ足場では設置間隔が狭いため、壁つなぎの本数が多くなりやすく、設計の丁寧さと精度が求められます。
施工現場での実例と専門家の見解
実例: 3階建て現場例(高さ9.2m):
- 水平方向の壁つなぎ間隔:4.5m
- 垂直方向:3.0m
- 壁つなぎ数:約20本
- 結果:強風時でも変形なし
ただし計算書からの証明が必要です

「設計上の間隔ギリギリにするのではなく、1段階余裕を持って設置することで安全マージンを確保することが大切ですし(安全率を考える)計算書の作成が重要です!」(一級建築士・X氏)
単管足場の強度計算方法|現場で役立つ基礎知識と安全のポイント
よくある質問Q&A
A:はい、必要です。外壁にアンカーが打てない場合は、単管式やブラケット方式で対応します。
A:壁つなぎの間隔は必ず設計計算に基づき、標準より縮めて設置することが原則です。
それぞれの場所によって計算することが重要です。市街地、郊外などによって変わってきます。
まとめ |クサビ足場の壁つなぎは「安全・信頼」の要
クサビ足場における壁つなぎは、ただの補助金具ではありません。
**強風や地震時に足場を転倒から守る“命綱”**であり、作業員の命、安全、施工全体の信頼性を支える重要な部材です。
安全性:最新法令(2024年改正)に則った壁つなぎの設計・間隔設定・設置状況の記録は、現場での事故防止の鍵となります。
信頼性:設計図・計算書・写真記録といったデータ管理の徹底は、元請や施主からの評価・信頼構築につながります。
経済性:正しい壁つなぎ計画により、無駄な施工を避けつつ、必要最低限の材料で最大限の安全性を確保できます。
最後に
「なんとなく」で壁つなぎを設置していませんか?
建物構造・足場仕様・高さ・地形・風圧・作業内容に応じて、正確な設計と記録に基づいた施工が必須です。
正しい壁つなぎは、作業員を守り、現場の価値を守ります。
この記事を参考に、今日から現場での壁つなぎ設計・確認を一歩進めましょう。
参考資料 引用・出典
👤この記事を書いた人
ISHIDA DESIGN OFFICE 代表 I.D.O 足場組立等作業主任者/仮設設計技術者
仮設計算歴30年以上。建設現場での足場設計・点検・安全管理業務に従事。
現在は仮設設計と安全な工事にアドバイスをしている