足場の積算方法|初心者でもできる簡単見積もりのコツ【2025年版】

「この足場、一体いくらで見積もればいいんだろう?」──
私も若い頃、見積ソフトもなく電卓と手書きだけで積算していて、毎回もやもやしていました。
結論から言うと、足場の積算は**「架け面積 × 単価」+α**の考え方さえ押さえれば、初心者でも十分対応できます。
この記事では、くさび式足場を中心に、架け面積の出し方 → 単価・歩掛の考え方 → 見積書の作り方までを、現場監督の佐藤さん向けに、できるだけ噛み砕いてお話しします。
無料DL |足場積算の基本チェックリスト(PDF)
「まずはミスを減らしたい」という方向けに、
- 架け面積の計算項目
- 単価・歩掛の入力欄
- 見積書で抜けやすい項目リスト
を1枚にまとめたPDFチェックリストを用意しています。
本文を読みながら使えるようにしてありますので、よろしければダウンロードして一緒に確認してみてください。足場積算の基本チェックリスト(PDF版)の無料ダウンロードはこちら
足場積算の前提と用語整理【どこまでを積算範囲にするか】
この章では、足場積算の「前提条件」と「基本用語」を揃えます。
ここを曖昧にしたまま積算を始めると、後から「誰がどこまで負担するのか」で必ず揉めます。
私は見積の相談を受けるとき、まず次の4点を確認しています。
- 対象は外部足場だけか、内部躯体足場・内部仕上足場も含むか
- 足場の種類(くさび式/枠組/単管足場など)
- 足場以外の直接仮設(仮囲い・養生・仮設階段・ステージなど)をどこまで含めるか
- 公共工事か民間工事か(=公共建築数量積算基準をそのまま使うかどうか)
(参照:国土交通省 公共建築数量積算基準mlit.go.jp)

足場積算でよく出てくる用語
- 架け面積(㎡):外周長さと高さから求める、足場を掛ける面の面積
- 歩掛(ぶかかり):1㎡あたり、または1スパンあたりにかかる労務量・時間の目安
- 直接仮設:足場・仮囲いなど、工事そのものを行うために必要な仮設(公共建築数量積算基準の分類)
- 積載荷重:足場が安全に支えられる荷重(仮設工業会の技術基準・安衛則などに準拠)
(参照:国土交通省 公共建築数量積算基準)
YMYLに関する注意
この記事はあくまで一般的な考え方の解説です。
実際の設計や積算は、元請との協議・施工計画書・仮設図面に基づき、有資格者(足場の組立て等作業主任者など)の管理下で行ってください。
積算の基本式と歩掛【架け面積→数量→金額】
この章では、「架け面積の出し方」と「数量→金額」へのつなげ方を整理します。
基本の流れを一度身体に入れてしまえば、現場ごとの差は「条件の上乗せ」で対応できるようになります。
1. 架け面積の基本式
一般的によく使われる考え方のひとつが、次のような式です(外部足場の例)。
(外周長さ + 余裕 4m) ×(足場高さ + 余裕 0.5m) = 架け面積(㎡)
- 余裕の4m・0.5m は、コーナー部や安全上の余裕を見込むための補正値としてよく用いられます。
- 公共工事では、公共建築数量積算基準の考え方に沿って、仮設図面に基づく計算が原則です。
(参照:国土交通省 公共建築数量積算基準)
(32 + 4) ×(7 + 0.5)= 36 × 7.5= 270㎡(架け面積)

2. 架け面積から数量を求める
270㎡が出たら、次は1㎡あたりの数量目安を掛けていきます。
ここではくさび式足場を想定した、あくまで目安の例です。
| 部材名 | 1㎡あたりの目安 | 270㎡の場合の数量 |
|---|---|---|
| 支柱(鉛直材) | 1.0〜1.2本/㎡ | 約270〜325本 |
| 手すり・胴縁(水平材) | 1.0〜1.3本/㎡ | 約270〜350本 |
| ジャッキベース | 0.25個/㎡ | 約70個前後 |
| 布板(足場板) | 0.5〜0.7枚/㎡ | 約135〜190枚 |
現実の現場では、出入口・開口・階段・スロープなどの条件でかなり変わります。
私は、最初にざっくりこの目安で拾っておいて、仮設図と付き合わせながら増減をチェックするようにしています。
3. 数量 × 単価 で材料費を出す
単価は地域や取引条件で大きく変わりますが、例として以下のようなレンジで考えます。
| 部材名 | 単価の目安 | 270㎡の材料費目安 |
|---|---|---|
| 支柱 | 200〜250円/本 | 約5.4〜8.1万円 |
| 手すり・胴縁 | 150〜200円/本 | 約4.0〜7.0万円 |
| ジャッキベース | 250〜350円/個 | 約1.7〜2.5万円 |
| 布板 | 250〜400円/枚 | 約3.4〜7.6万円 |
→ 合計すると、材料費だけでおおよそ12〜16万円というイメージになります。
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大きめキーで打ち間違いを防げるため、見積・数量計算に特に向いています。
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私が普段使っている積算シートを、
- シート1:現場条件入力(外周・高さ・足場種類など)
- シート2:部材数量と金額が自動表示
- シート3:使い方マニュアル(簡易版)
という構成で「無料版」として整理しました。
有料版では、くさび足場・枠組足場・単管足場を切り替えできるようにする予定です。まずは無料版で、計算の流れを掴んでみてください。
見積・単価レンジと原価構成【どこまで入れるか】
この章では、「単価の内訳」と「どこまでを見積に入れるか」を整理します。
ここをちゃんと分けて考えないと、「とりあえず一式で…」となり、結局自分の首を絞めることになります。
1. 一般的な㎡単価のレンジ
外部くさび式足場(住宅〜小規模RC)の場合、1㎡あたり600〜1,000円程度のレンジで運用されることが多い印象です(材料+労務+経費を含む)。
ただし、これはあくまで相場感であり、以下の条件で大きく変わります。
- 現場の規模(小さすぎる現場は割高になりがち)
- 足場の高さ・周長・形状(L字・コの字・内外足場の有無など)
- 搬入経路(狭隘道路・手運びの有無)
- 安全設備(先行手すり、メッシュシート、防音パネルなど)の有無
「㎡◯円で何でもいける」という発想は危険です。
自社の原価構成を一度分解してみることをおすすめします。
2. 原価構成のイメージ
- 材料費:足場材の減価償却・修繕費
- 労務費:組立・解体・運搬にかかる人件費
- 運搬費:トラック回送・燃料・高速代など
- 諸経費:現場管理費・安全管理費・保険料など
- 利益:会社を続けるために必要な最低限のマージン
私が相談を受けるときは、まず**「労務費と運搬費を別建てで見える化」**することを提案しています。
そうすると、値引きの話になっても「ここまでは削れるけど、ここから先は安全に響きます」と説明しやすくなります。
くさび式足場の施工手順と安全ポイント【積算とつながる部分】
この章では、くさび式足場の標準的な流れと、積算に関係する注意点を簡単に整理します。
施工手順をイメージしたうえで積算すると、「ここは余分を見ておこう」という感覚が掴みやすくなります。
1. 標準的な施工の流れ(外部くさび式足場)
- 現場測量・仮設計画の確認
- ジャッキベースの設置・レベル出し
- 支柱建込み(1層目)
- 水平材・布板の設置
- 2層目以降の立ち上げ
- 先行手すり・親綱・メッシュシート等の安全設備の設置
- 壁つなぎ・控えの取り付け
- 最終点検・是正

2. 積算に効いてくる安全ポイント
- 壁つなぎのピッチ:安衛則や仮設工業会の基準を守ると、想像以上に本数が必要になります。
- 先行手すり・墜落防止設備:材料費だけでなく、施工手間も積算に上乗せすべきポイントです。
- 風対策:メッシュシート全面張りの場合、支保工や補強の必要性も含めて検討が必要です。
ここを安易に「一式サービス」で入れてしまうと、後で自分が苦しくなります。
私は、安全対策は別行立てで見積書に書くことを強くおすすめしています。
点検・記録・教育と積算【安く見積もり過ぎないために】
この章では、足場の点検・記録・教育にかかるコストをどう見積に織り込むかを考えます。
法令で義務づけられている部分を「サービス」で吸収し続けると、長期的には安全も利益も両方削れていきます。
- 労働安全衛生法・安衛則では、足場の点検や記録が求められています。
- 強風後・地震後などの臨時点検も、実務上はほぼ必須です。
私は現場監督の佐藤さんには、次のような考え方をお勧めしています。
- 「点検・記録」は1現場あたり◯時間/◯回分を見積に含める
- 点検用のチェックリストや記録フォーマットを用意し、再利用性を上げてコストを下げる

ここで役立つのが、点検チェックリストのPDFやExcelシートです。
自社用にカスタマイズしておけば、毎現場で一から書き起こす必要がなくなります。
主要部材一覧と互換・仕様【混用NGと適合証明】
この章では、くさび式足場を中心に「どの部材をどう扱うか」の基本を整理します。
積算の段階で「互換性」を甘く見ると、現場で混用してしまい、最悪の場合は事故につながります。
1. 主な部材と役割
- 支柱(縦)
- 水平材(手すり/胴縁)
- 布板(踏板)
- ジャッキベース・鋼製布板・親綱支柱 など
2. 互換と混用NG
- メーカーごとにくさびの形状・ピッチ・材質が微妙に異なります。
- 原則として、異なるメーカーの部材を混用しないことが大前提です(メーカー仕様優先)。
- 積算時点で、「どのメーカー縛りか」を決めておくと後々楽になります。
私は、見積書の備考欄に**「◯◯メーカーくさび式足場一式(混用なし)」**と一言入れておくようにしています。
これだけでも、あとでトラブルになりにくくなります。
ケーススタディ|「安く出しすぎた」現場で何が起きたか
この章では、実際に私が見てきた「安く出しすぎて苦労した現場」のパターンを共有します。
同じ失敗を繰り返さないために、少しだけ一緒に振り返ってみましょう。
事例:サービスしすぎた結果、夜間作業だらけになった現場

- 2階建ての住宅改修工事
- 「近所だから」と、運搬費・点検費をサービスして見積提出
- 実際には、近隣配慮でほとんど早朝と夕方以降の作業になり、人件費がかさんだ
- 強風が続き、臨時点検が3回も必要になった
結果として、粗利はほとんど残らず、現場のメンバーも疲弊してしまいました。
この経験から私は、
- 「点検回数ゼロ前提」の見積は作らない
- 近くても運搬費は一定額を確保する
という自分なりのルールを作りました。
積算は、**自分たちの働き方と安全を守る“線引き”**でもあると、今は強く感じています。
関連記事
ダウンロード/ツール案内|Excel積算テンプレを紹介
足場積算を「手計算」から「テンプレ運用」に切り替えるツールセット
このページで解説した考え方を、そのまま現場で使えるようにした 無料PDF+Excelテンプレート(将来PRO版あり)です。 現場監督・積算担当・職長クラスを想定して作り込んでいます。
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※ クリック計測用に GA4 の「download」イベントを設定しておくと、資料ごとの反応率を比較しやすくなります。
よくある質問
A1. 必ずこの式でなければならないという決まりはありません。公共工事では公共建築数量積算基準に基づき、仮設図面から数量を算出するのが原則です。民間工事では、余裕をどの程度見るかを社内ルールとして決めておくことをおすすめします。
(参照:国土交通省 公共建築数量積算基準)
A2. 外部足場で材料・労務・諸経費を含めた場合、600〜1,000円/㎡程度のレンジで運用されることが多いですが、現場条件・高さ・周長・搬入経路・安全設備の有無によって大きく変わります。自社の原価構成を一度分解し、最低限確保したい単価を決めておくことが重要です。
A3. 法令で一律に「混用禁止」と書かれているわけではありませんが、多くのメーカーが自社以外の部材との混用を禁止しており、事故時の責任問題にも直結します。積算の段階でメーカーを決め、混用しない前提で数量を拾うことが安全面・法令遵守の両方から望ましいといえます。
(参考:労働基準監督署 足場に関する労働安全衛生法上の規定について)
まとめ|積算を「怖い作業」から「手順作業」に変える
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
最後に、この記事のポイントを5つだけ整理します。
- 足場の積算は、架け面積 → 数量 → 単価 → 原価構成の流れで考えると整理しやすい。
- ㎡単価だけでなく、点検・記録・運搬・安全対策をどこまで含めるかを最初に決めることが大切。
- くさび式足場は、壁つなぎや先行手すりなど安全部材を別行立てで見積に含めることで、自分たちの安全と利益を守れる。
- ExcelテンプレートやPDFチェックリストを使えば、積算は「センス」よりも「手順」で回せるようになる。
- 積算の基準と手順をチームで統一することで、現場のムダ・作業の偏り・見積の“サービスしすぎ”を防ぐことができる。
私自身、何度も積算で失敗して、夜遅くまで電卓を叩き直したことがあります。
でも、考え方と手順を整理してからは、**「あ、今回もいつもの流れでいけるな」**と、心がだいぶ楽になりました。
この記事が、あなたの現場の安全とコスト削減、そしてスムーズな作業につながれば、本当にうれしいです。
もし「この記事、ちょっと役に立ったかも」と感じていただけたなら、ぜひ他の記事も覗いてみてください。
あなたの現場の相棒として、これからも少しずつ、現場で“使える”情報を届けていきます。
無料チェックリストやExcelも、ぜひ一緒に使ってみてください。
本記事の数値例や単価レンジは、あくまで一般的な一例です。実際の積算・契約単価の決定は、各社の社内基準・元請との協議・最新の法令/通達に基づいて行ってください。

※最終更新日:2025年11月26日
👤この記事の執筆者/監修
ISHIDA DESIGN OFFICE
代表 I.D.O(仮設設計技術者/足場組立作業主任者)
- 建設業歴30年以上、仮設設計・点検・講義実績多数・仮設設計技術者
- 厚労省・仮設工業会の最新基準に基づき執筆
仮設設計・CAD作図・構造チェックのご依頼はこちら:
ISHIDA DESIGN OFFICE 公式サイト
参考・出典リスト(省庁・規格・メーカーなど)
- 国土交通省「公共建築数量積算基準(国土交通省)」
- 厚生労働省関連通知・労働安全衛生規則(足場関係条文 足場に関する労働安全衛生法上の規定について )
- 仮設工業会 技術資料・技術指針 (仮設工業会|くさび緊結式足場 技術資料)

