「壁つなぎ」とは何か?【初心者にもわかる基礎知識】

30秒結論
壁つなぎで 最低限ここだけは外さない という確認ポイントは、次の3点です。
時間がない現場でも、この順で見れば判断を誤りにくくなります。
① 計算書(設計の根拠を確認)
設計者名・押印があるか
採用している条件(基準風速・地域区分・シート有無)が現場と一致しているか
壁つなぎの 許容荷重と実際にかかる荷重 が比較されているか
「なぜこの本数・この間隔なのか」を説明できる状態かがポイントです。
② 図面(数量・位置・ピッチを確認)
壁つなぎの 本数・取付位置 が図面上で明確になっているか
水平ピッチ・垂直ピッチが、計算書の条件と合っているか
現場の実際の足場高さ・形状とズレていないか
図面は 現場への指示書。
計算書と食い違っていれば、その時点で要注意です。
③ 現場記録(写真+是正フロー+署名)
実際に設置された壁つなぎの 写真が残っているか
指摘や是正があった場合、
「作業中止 → 点検 → 是正 → 記録 → 再開」の流れが追えるか責任者の署名・日付が明確か
口頭の「直しました」では残りません。
記録があるかどうかが、監督を守る分かれ目です。
小まとめ
壁つなぎの安全は
根拠(計算書)・指示(図面)・証拠(現場記録)
この3つがそろって、初めて成立します。
「壁つなぎ」とは、足場が建物から離れて倒れないように、建物に固定する安全金具のことです。仮設足場の構造を支える極めて重要な部材であり、風荷重対策の核心でもあります。
1,強風による足場倒壊を防ぐ
2,作業中の揺れやバランス崩れを抑える
3,法令で設置が義務づけられている
経験や感覚での設置はNG!
近年では、事故防止のため構造計算書に基づく設計と記録が求められています。
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壁つなぎには「構造計算書」が絶対に必要

何を計算しなければならないのか?
2,設計用風速・速度圧
3,壁つなぎ1本当たりの許容荷重と実荷重
4,壁つなぎ本数と取付け位置
5,設計判断の根拠(仮設工業会技術指針への準拠)
① 風荷重(風による力)
建設現場における壁つなぎの設置で最も重要なのが風圧荷重に耐える設計です。
仮設工業会の技術指針に基づき、以下の要素を考慮して計算されます:
実例
| 要素 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 基準風速 V0V_0 | 地域により異なる標準風速 | 横浜市:18 m/s |
| 瞬間風速係数 SS | 高さや周辺環境による補正 | 例:1.59 |
| メッシュシートの充実率 φφ | 風の抜けやすさ | φ = 0.7(70%目詰まり) |
| 形状補正係数 RR | シートの縦横比など | 例:0.605 |
| 設計用速度圧 qzq_z | 実際に足場にかかる圧力 | 511.9 N/m² |

② 壁つなぎに作用する力
壁つなぎ1本あたりが支える風力が許容値(例えば5733N)を超えないようにする必要があります。
例:壁つなぎ1本にかかる風力の計算
③ 壁つなぎの設置間隔(ピッチ)

仮設工業会の指針による原則的な設置基準は次の通りです
| 足場高さ | 水平ピッチ | 垂直ピッチ |
| ~10m | 約5.4m(3スパン) | 約3.6m(2段) |
| 10~31m以下 | 約3.6m(2スパン) | 約3.6m(2段) |
⚠ 実際は風荷重の計算結果により設置ピッチは変更されます。「目安」で設置するのは危険です。
これはあくまで「目安」。実際の設置ピッチは風荷重計算に基づいて変更されるべきです

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遵守すべき法令と最新条文(2025年時点)
壁つなぎの設計・計算の実務では、法令とあわせて「仮設工業会の技術指針」が重要な判断根拠になります。
足場は、必要な強度を有し、風等による倒壊を防止する措置を講じなければならない。
→ 壁つなぎと構造計算はこの義務の具体的実施項目です。
使用者は、作業者の危険を防止するため、機械・設備の構造上の安全措置を講じなければならない。
→ 足場も対象。壁つなぎの設置は「構造上の安全措置」に該当します。
作業床の端には手すり等を設けること。
→ 足場の「横揺れ」や「変位」を抑える壁つなぎは落下防止策の一部です。
工事には、技術上の管理を行う者を置くこと。
→ 主任技術者や現場監督は、計算書の確認と設置の実施責任を持ちます。
「法令の条文は分かるけれど、実務でどう使うかが不安」 という現場監督・安全管理担当者に向けた、確認用の実務書です。

- 安全管理体制・安全衛生教育・点検や是正の考え方など、労働安全衛生法の基本事項を実務目線で整理
- 労基署への報告書、各種届出、安全衛生規程のひな形・記載例を豊富に掲載
- 令和7年の法改正・関連省令・ガイドラインに対応し、最新の実務判断を確認できる
- 令和7年1月1日から義務化された労働安全衛生関係の電子申請についても分かりやすく解説
私はこの本を、「法令の最終確認をするときの裏取り資料」として使っています。 条文だけで判断するのではなく、 「監査や是正の場面で、どう見られるか」を整理したいときに、 一度立ち止まって確認できる一冊です。
また、QRコードを使って本文を音声で聴けるため、 通勤中や移動時間にインプットできる点も、忙しい現場担当者には助かります。
計算書がない場合のリスク


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元請会社による工事中断命令
事故時の法的責任(重過失責任)
労災保険・損保の支払い対象外になる恐れ
構造計算書は「命を守るドキュメント」であり、「安全の証拠」となります。
ケーススタディー現場で実際に起きた3パターン
【事例①】メッシュシート追加 → 壁つなぎピッチ不足 → 是正

当初はシートなし想定で壁つなぎを設計・施工していた現場で、途中からメッシュシートを全面に追加したケースです。
図面や計算書は当初条件のままで更新されておらず、風荷重が増えたことに誰も気づかないまま施工が進行していました。
強風時に足場の揺れが大きくなり、元請の安全パトロールで指摘。
計算をやり直すと、既存ピッチでは不足が判明し、壁つなぎの追加設置と是正記録の作成が必要になりました。
シート変更=条件変更。
設計条件と現場条件がズレた瞬間に、計算の前提は崩れます。
【事例②】立面図には指示あり → 現場未施工 → 写真なく説明不能

壁つなぎの位置・本数は立面図に明確に指示されていました。
しかし、現場では一部箇所が未施工のまま工程が進み、監督も「図面通りのはず」と思い込んで確認を後回しにしていました。
後日の是正指摘で「計算書は?」「実際に付いている証拠は?」と問われましたが、
施工写真がなく、説明できず、結局は一度足場を止めて再確認・是正・再撮影という流れに。
図面と計算書があっても、
“写真による証拠”がなければ、現場では説明できません。
【事例③】ビル風を想定せず → 揺れ増大 → 追加壁つなぎ

周囲に高層建物がある立地で、通常の基準風速だけで設計していた現場です。
特定方向からの風が抜ける「風の通り道」があり、想定以上に足場が揺れる状況が発生しました。
現場作業員からの申告で状況を確認し、壁つなぎを追加。
結果的に安全性は確保できましたが、「立地条件を初期段階で拾えていれば防げた是正」でした。
数値上は問題なくても、
**現場条件(周辺建物・風の抜け)**で安全性は大きく変わります。
小まとめ
壁つなぎの問題は、
「計算がない」よりも「条件がズレている」ことで起きやすい。
条件変更(シート・高さ・立地)
図面と現場のズレ
記録(写真)の不足
この3つは、監督が最初に潰せるリスクです。
著者情報
※筆者は仮設足場の構造計算・是正対応に30年以上携わり、壁つなぎの設計変更・現場調整を多数経験しています。
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現場監督・設計担当者が確認すべき3項目
2,現場で図面通りに設置されているかを写真等で記録しているか
3,仮設業者に設計者印のある正式な計算書を提示してもらっているか

よくある誤解とそのリスク
| よくある誤解 | 実際のリスクと正しい知識 |
| 「2階建てなら壁つなぎ不要」 | ❌ シート面積が大きければ風荷重は想定以上に |
| 「隣の建物が風よけになるから大丈夫」 | ❌ 巻き込み風やビル風により風圧が倍増する可能性 |
| 「図面にはあるが現場にはついていない」 | ❌ 是正対象。保険・労災支給対象外になることも |

参考記事
:クサビ足場 壁つなぎ間隔の基本|安全基準と実務ピッチ
:足場点検完全ガイド|安全チェックリストと法令対応
:仮設工業会の技術指針 “法律ではない”けど守らないと訴訟リスク?現場監督、図面作成者も必読!
まとめ|壁つなぎは命と法的責任を守る「証明書付きの安全装置」
壁つなぎは、足場を支える単なる部材ではありません。人の命を守り、現場を管理する立場の責任を支える「安全装置」です。
壁つなぎは「命綱」であり、
「法令」「構造的根拠」「記録」の3つが揃って、はじめて安全が保証されます。
計算書と図面があり、さらに現場で設置され、その状態が写真などで記録されていることが重要です。
どれか一つでも欠けていれば、法的にも技術的にも不備と判断される可能性があります。
とはいえ、
「完璧な知識がなければ管理できない」ということではありません。
この記事で整理したように、
図面と現場でどこを照らし合わせるか
どの段階で記録を残せばよいか
を順番に押さえていけば、現場の判断は確実に安定します。
トラブルや是正、訴訟・損害賠償といったリスクの多くは、「知らなかった」よりも
「確認するポイントが整理されていなかった」ことから起きています。
このページは、
✔ 現場着工前の確認
✔ シート追加・条件変更時の再チェック
✔ 点検や是正対応時の見直し
といった場面で、何度でも見返して使える実務用の整理資料として作っています。
判断に迷ったときは、この記事に戻って確認の軸を整えることで、落ち着いて対応できるはずです。
安全は「気合」や「経験」ではなく、
根拠を積み重ねることで守られるものです。
壁つなぎの確認を、日常業務の一部として淡々と続けていくことが、
結果的に現場とあなた自身を守る一番確実な方法になります。
この記事が貴方のお役に立てればうれしく思います。

【更新履歴】
- 2025/12/31:挿絵、コード変更、ケーススタディーの追加
- 2025/12/10:記事変更
- 2025/06/25:記事作成
この記事の執筆者/監修
👤この記事の執筆者/監修
ISHIDA DESIGN OFFICE
代表 I.D.O(仮設設計技術者/足場組立作業主任者)
• 建設業歴30年以上、仮設設計・点検・講義実績多数・仮設設計技術者
• 厚労省・仮設工業会の最新基準に基づき執筆
仮設設計・CAD作図・構造チェックのご依頼はこちら:
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