足場図面 仮設計画一般 仮設計算書 PDF変換CADデーター  お気軽にお問い合わせください。

クサビ足場とは|仕組み・高さ制限・積載荷重【2025年最新版】 

クサビ足場の前提と用語

クサビ緊結式足場の外観。建設中のビル外壁に組まれた足場が整然と組み上げられ、安全手すりと筋交いが確認できる。
クサビ足場はビル外壁の改修や中高層建物で広く採用され、速さと安全性の両立が特徴です。

要点サマリ: クサビ足場は“くさび緊結式”の足場。住宅〜中低層改修で多用され、組立が速いのが特徴です。安全は「先行手すり」などの法令要求に沿って運用します。
「クサビ足場(くさび緊結式)」は、支柱のコマ(突起)に水平材・布板を差し込み、金属製のくさびで固定する方式。別名「ビケ足場」は製品名で、一般名称ではありません。

資格まわり:足場の組立て等に従事する人は特別教育が必要(地上等の補助を除く)。2m以上の作業は墜落防止措置を講じます。(厚生労働省 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の概要)

主な部材:支柱(コマ付き)、手すり、布板(滑り止め付が一般的)、先行手すり、ジャッキベース、筋交い、ブラケット。

YMYL注記:本記事は一般解説です。最終判断は施工計画書と元請協議、メーカー仕様に従ってください。

 

クサビ緊結式足場の主要部材一覧。支柱(コマ付き鋼管)、手すり(水平材)、布板(作業床)、ジャッキベース、筋交い・ブラケット、先行手すりを示した図。
クサビ足場の代表的な部材構成。支柱や手すり、布板、ジャッキベースなどが安全な足場を構成します。

積算の基本式と歩掛

要点サマリ: クサビ足場は「速さ」がコストに直結します。歩掛と搬入回数、回送距離を分けて見積ると誤差が減ります。

基本式(概念):見積金額=〔材工共(人件費+機材償却+搬入回送+管理安全経費)〕±現場条件(狭小、養生、夜間)

歩掛(参考レンジ):二側・外部標準で**組立0.35〜0.55人工/10㎡、解体0.25〜0.45人工/10㎡**程度を起点(現場差・教育差あり)。

時短要素:先行手すりの標準採用、布板の軽量化、ユニット搬送の前提共有など。
※歩掛・単価は自社実績で上書き推奨。社内“出来高×写真+日報”でトラッキングし、翌現場へフィードバック。

 

見積・単価レンジと原価構成

要点サマリ: 単価は㎡あたりの“総合条件”で決まります。人件費と回送費を分け、追加安全(先行手すり等)は明確に積算します。

単価レンジの目安:外部二側で800〜1,200円/㎡(参考値)。狭小・夜間・長期仮設・防音対応で上振れ。

原価構成:人件費、機材償却、保管費、回送(距離×便数)、現場管理、

安全経費(先行手すり・防網・注意喚起など)チェック:写真提出物と是正履歴を“見積根拠”に紐づけて保存→紛争予防。

施工手順(HowTo)と安全

要点サマリ: “先行手すり”“点検者の指名・記録”がキモ。作業は幅広い墜落防止措置のもとで進めます。
標準手順(抜粋)

  1. 現場確認(敷地・風・地下埋設・地耐力)→ジャッキベース敷設
  2. 支柱建込み→筋交い→水平材→先行手すり→布板敷設(幅40cm以上)
  3. 階層ごとに点検者が確認→記録保存(氏名記録の保存義務)
  4. メッシュ・防網・開口養生/必要に応じ墜落制止用器具使用
    禁止・注意:混用・互換、過積載、連続スパンへの載荷、無記録解体はNG。
    是正フロー:指摘→是正→再点検→記録(写真+日報)。
    ※一側足場の使用範囲は原則、本足場使用に改正。幅1m以上の箇所は本足場(例外あり)。(労働局所在地一覧)

 

クサビ足場の施工手順と用途を示す図。住宅やビルの工事現場で、ジャッキベース設置から支柱建込み・筋交い・先行手すりまでの組立工程を表している。
クサビ足場は住宅からビルまで対応可能。支柱建込みから先行手すり設置、点検記録保存までの安全施工手順を図で示しています。

 

点検・記録・教育(日常/週次/引渡前)

要点サマリ: 点検者の指名氏名記録の保存が義務化。風雨後や変更時の再点検・即是正が基本です。

  • 日常:出入門点検(緊結、浮き、緩み、手すり・中さん欠落)
  • 週次:水平・建地鉛直、緊結状態、養生、掲示類
  • 引渡前:写真台帳・最大積載荷重掲示・是正票クローズ
  • 教育:組立等従事者特別教育、先行手すりの徹底、点検者指名と記録保存。(厚生労働省)

 

部材一覧・互換・仕様(寸法・質量・許容荷重/混用禁止)

要点サマリ: くさび緊結式はメーカー混用NG。認定基準に基づく許容荷重を守り、最大積載荷重は見やすい場所へ掲示。

 

クサビ緊結式足場に関する注意喚起イラスト。部材の混用禁止、荷重超過、風雨時の危険を示す警告マークと、適合証明の重要性を表している。
クサビ足場はメーカー混用NG。認定基準に基づく許容荷重と安全率を守ることが、事故防止と法令遵守の基本です。

高さ制限と根拠(31m/45m)

要点サマリ: 原則は31m未満ビル工事用は条件付きで45mまで可。31m超は“2本組”規定の例外条件に注意。

クサビ足場や単管足場・枠組足場などの高さ制限を示した図表。住宅用は31m未満、ビル用は45m以下が上限で、10m超または60日超設置には「足場設置届」が必要と説明している
足場の高さ制限は住宅用で31m未満、ビル用で45m以下(補強条件あり)。10m超・60日超設置は労働基準監督署への届出が必要です。

 

積載荷重の考え方(掲示義務/NG例)

要点サマリ: 布幅で許容が変わります。同一スパン2層まで・連続スパン載荷NGなどは長期トラブル防止の基本。

  • 目安:400mm幅=200kg、240mm幅=150kg
  • 低層住宅(軒高10m未満):1スパン200kg以下、1構面400kg以下
  • 前後踏み900mm以上:1スパン400kg以下
  • 6m超の一側上部/開口梁上部:200kg以下
  • 掲示:最大積載荷重は見やすい場所に表示
    (※メーカー仕様・現場計算で最終判断)

出典 労働安全衛生規則 第562条(最大積載荷重)

クサビ足場の積載荷重基準を示す図。400mm幅は200kg、240mm幅は150kg、10m未満の低層住宅では1スパン200kg以下、構面全体で400kg以下と定められている。
積載荷重は布幅によって変わります。400mm幅で200kg、240mm幅で150kgが目安。同一スパンは2層まで、連続スパンへの載荷はNGです。

 

他の足場との比較

要点サマリ: クサビ=速い・標準化しやすい。単管=自由度。枠組=高層安定。現場条件で選び分けます。

 

種類主な用途メリットデメリット
クサビ足場住宅・改修・低〜中層組立速い/安全装備しやすい騒音・混用不可・複雑形状に弱い
単管足場変形・狭小・小規模自由度・安価経験依存・時間がかかる
枠組足場高層・大規模強度・安定・基準適合しやすい重量・搬入スペース大

 

ケーススタディ(トラブル→是正→再発防止)

要点サマリ: 「過積載×無掲示」「点検記録欠落」で揉めやすい。写真と掲示・記録で守ります。

  • 事例:改修現場で布板400mmに200kg超の材料長置き→たわみ→是正。
  • 対策:最大積載荷重の掲示/材料置場の分散指示/巡回時の写真是正記録

 

 内部リンク

 

 FAQ

クサビ足場は何mまで組めますか?
A. 原則31m未満。ビル工事用は補強・設計条件を満たせば45mまで可(仮設工業会技術基準+安衛則の2本組規定の例外条件)。(一般社団法人 仮設工業会)
一側足場はもう使えませんか?
A. 令和6年改正で幅1m以上の箇所は原則本足場。ただし、つり足場等の例外や物理的困難がある場合は可。(労働局所在地一覧)
先行手すりは必須ですか?
A. 2m以上の作業で墜落防止措置が義務。先行手すり等の対策がガイドラインでも強化されています。(厚生労働省)
 最大積載荷重の掲示は必要?
A. 必要です。仮設工業会の認定基準・メーカー仕様に基づく許容を遵守し、見やすい場所へ掲示します。(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号))

 

まとめ

1,クサビ足場=速い・標準化しやすい・安全装備が載せやすい
2,高さは原則31m未満、ビル工事用は条件付き45mまで
3一側足場の使用範囲は厳格化。幅1m以上は原則本足場(例外あり)
4,積載荷重は布幅で管理、最大積載荷重を掲示
5,点検者指名と記録保存、写真台帳で“説明できる現場”に

 

 

 参考・出典(省庁・規格・業界団体・技術解説)

 

________________________________________
👤この記事の執筆者/監修
ISHIDA DESIGN OFFICE
代表 I.D.O(仮設設計技術者/足場組立作業主任者)
• 建設業歴30年以上、仮設設計・点検・講義実績多数・仮設設計技術者
• 厚労省・仮設工業会の最新基準に基づき執筆
仮設設計・CAD作図・構造チェックのご依頼はこちら:
ISHIDA DESIGN OFFICE 公式サイト

クサビ足場とは?くさび緊結式足場の仕組みとメリット・デメリットを解説した記事のアイキャッチ画像
最新情報をチェックしよう!
NO IMAGE