「この現場、枠で行くべきか、クサビで組むべきか…。」
足場の種類を間違えると、工期・コスト・安全の全部にじわじわ効いてきます。
私は仮設設計の仕事で、図面だけでなく「どの足場を選ぶか」の相談もよく受けます。
同じ坪数でも、足場の選び方ひとつで数十万円レベルの差が出た現場も少なくありません。
この記事では以下の点を、私の実務経験と最新の公的資料をベースに整理します。

1. 枠組足場とは?基本構造と得意な現場
要約:
枠組足場は高層・大規模が得意な「がっちりタイプ」の足場です。
重量もありますが、その分剛性・安心感を評価して選ぶ元請さんも多いです。
1-1. 枠組足場の基本構造
- 鋼製の「建枠」と「ジャッキベース」「ブレス」「アンチ」などを組み合わせる足場
- ボルト・クランプ・ピン等で接続し、面で剛性を確保する構造
- 作業床は鋼製布板や鋼製足場板を使用
私の感覚では、中高層の外壁全面架けや倉庫・工場の改修など、
「高さ×幅がそこそこ大きい現場」で枠組足場の面剛性の強さを実感することが多いです。
1-2. 枠組足場が向いている現場
- 商業ビル・倉庫・中高層RC造の外壁改修
- 強風地域・海沿いなど風荷重が厳しいエリア
- 重量物(ガラスカーテンウォール等)の取り付けが多い現場
「多少コストが上がっても、揺れを抑えて作業者の不安を減らしたい」
そんな元請さんは、今でも枠組足場を指定されるケースがあります。
2. クサビ足場とは?仕組みと現場での強み
要約:
クサビ足場(くさび緊結式足場)は、**戸建て・中小現場の“定番”**になりつつある足場です。
速さ・軽さ・柔軟さが、コスパ面で大きな武器になります。
2-1. クサビ足場の仕組み
- 支柱の「コマ」にハンマーでハリ・手すりなどを打ち込み固定するユニット式
- 部材点数が少なく、片付け・積み込みもスムーズ
- シンプルな構造のため、組立パターンを覚えやすい
私も最初にクサビ足場の現場を見たとき、
「え、もうここまで組み上がってるの?」とスピードにびっくりしました。
人手が足りない現場ほど、クサビの速さは効いてきます。
2-2. クサビ足場が選ばれるシーン
- 戸建て住宅(新築・改修)
- 低層アパート、テナント入替えの外装工事
- 狭小地・変形プラン・段差の多い敷地
細かく寸法を追いたい改修現場では、
「クサビじゃないと納まらないレベルの奥行き・高さ調整」が出てきます。
3. コスト構造とコスパ比較(材料費・人件費・運搬)
要約:
コスパを見るときは、「材料単価」だけでなく、
人件費・運搬・回送回数をセットで見るのがポイントです。
ここでは、あくまで概算イメージとしてレンジでお伝えします。
3-1. 材料費の目安(概算)
| 比較項目 | 枠組足場 | クサビ足場 |
|---|---|---|
| 材料費目安 | 1,000〜1,500円/㎡ | 800〜1,200円/㎡ |
| 部材点数 | 多い | 少なめ |
| ストック管理 | サイズ・種別が多い | 比較的シンプル |
※地域・業者・契約形態により大きく変動します。ここでは相対比較のイメージです。
3-2. 人件費・施工スピードの違い
| 比較項目 | 枠組足場 | クサビ足場 |
|---|---|---|
| 組立工数 | 多い(2人以上+ボルト締め作業) | 少なめ(1〜2人でハンマー締結) |
| 解体スピード | やや時間がかかる | 早い |
| 教育・習熟 | 部材多く、パターン習得に時間 | パターン化しやすく習熟が早い |
私の経験では、同じ250㎡の住宅でも、
枠組に比べてクサビの方が半日〜1日程度早く終わるケースが珍しくありません。
この“半日〜1日”が、人件費と工程表にじわっと効いてきます。

3-3. 運搬・回送コスト
- 枠組足場:
- 重量があるため1現場あたりのトラック台数が増えがち
- 養生・置き場の確保も課題になりやすい
- クサビ足場:
- 軽量・省スペースで回送回数を抑えやすい
- 狭い道路・搬入制限のある住宅街で有利
トータルで見ると、戸建て〜中規模クラスでは、
「材料費+人件費+運搬費」を足した合計でクサビ足場が有利になる現場が多い印象です。
4. 法的基準と2024年改正のポイント
要約:
2024年の足場関係の改正で、
一側足場の使用範囲明確化・点検者の指名と記録義務などが強化されました。
4-1. 主な改正ポイント(足場関係)
足場関係の改正では、ざっくり言うと次のような方向の見直しが行われています。
- 一側足場(いっそく足場)の使用範囲の明確化
- 幅1m以上の箇所では、原則として本足場の使用が必要に
厚生労働省 PDF「本足場の定義について」
- 幅1m以上の箇所では、原則として本足場の使用が必要に
- 点検者の指名義務
- 足場の点検(組立後・一部解体後・変更後など)に際して、
あらかじめ点検者を指名することが必要
PDF「足場の点検者の指名が必要です!」(広島労働局)
- 足場の点検(組立後・一部解体後・変更後など)に際して、
- 点検記録の保存義務
- 点検後に、点検者の氏名・点検日・指摘事項等を書面またはデジタルで記録
- 記録を一定期間保存すること
「足場からの墜落防止措置が強化されます(厚生労働省リーフレット)」
これらは、枠組足場・クサビ足場のどちらにも関わる共通ルールです。
4-2. クサビ足場と法令対応の相性
クサビ足場はユニット構造のため、次のような点で法令対応がしやすいケースがあります。
- 先行手すり・中さん・巾木などをユニットとして組み込みやすい
- 親綱や墜落制止用器具との取り合いが整理しやすい
- 仕様書・認定書類が仮設工業会やメーカーからまとまって提供されていることが多い
ただし、メーカー混用は原則NGです。
混用する場合は、必ずメーカー仕様・適合証明・仮設工業会の基準を確認してください。
5. 施工効率と安全性:どこまで差が出るか
要約:
「どっちが安全か?」というより、
現場条件に合った足場を選べているかが安全性を左右します。
5-1. クサビ足場の安全面の特徴
- 単管+布板より揺れが少なく安定しやすい
- 先行手すり・専用階段・巾木など、安全オプションが豊富
- 軽量ゆえに、作業者の身体的負担が軽い
狭小地で一側が続くような現場では、
無理に一側で押し通すより、クサビ+本足場の組み合わせを検討した方が安全なケースもあります。
5-2. 枠組足場の安全面の特徴
- フレーム構造により、高層・長スパンでの面剛性が高い
- 高さ・スパンが大きい現場での実績が豊富
- 強風時や地震時にも、計画・補剛をしっかりすれば安心感がある
「どっちが絶対安全」ではなく、
高さ・スパン・風条件・荷重条件を踏まえて選ぶことが大切です。

6. 価格比較の具体例(㎡単価・人件費イメージ)
要約:
ここでは、あくまでモデルケースとしてのイメージです。
実際の金額は地域・契約・職人さんの単価で変わります。
6-1. 戸建て住宅(250㎡程度)のイメージ
| 項目 | 枠組足場 | クサビ足場 |
|---|---|---|
| 材料費 | 325,000円前後 | 275,000円前後 |
| 人件費 | 180,000円前後 | 120,000円前後 |
| 合計 | 約505,000円 | 約395,000円 |
6-2. 中層ビル外壁改修(600㎡程度)のイメージ
| 項目 | 枠組足場 | クサビ足場 |
|---|---|---|
| 材料費 | 750,000円前後 | 660,000円前後 |
| 人件費 | 350,000円前後 | 250,000円前後 |
| 合計 | 約1,100,000円 | 約910,000円 |
私の体感でも、戸建て〜中層クラスでは、
「クサビに切り替えたら、1現場あたり10〜20%程度コストが落ちた」という声をよく聞きます。

7. あなたの現場に合う足場の選び方ガイド
要約:
「コスパだけ」で決めず、
工期・高さ・敷地条件・将来の仕様変更も含めて総合判断するのがポイントです。
7-1. 条件別のざっくり目安
| 条件 | おすすめ足場 |
|---|---|
| 工期短縮・人件費削減を最優先 | クサビ足場 |
| 高層・高所作業が多い | 枠組足場 |
| 狭小地・変形敷地・リフォーム | クサビ足場 |
| 強風地域・大スパンで剛性重視 | 枠組足場 |
7-2. 私が現場で確認しているチェックポイント
見積もり・仮設計図を描く前に、私は必ず次のようなことをヒアリングしています。
- 「足場上でどんな作業をするか?」(荷重・作業姿勢)
- 「仮設のままどのくらいの期間使うか?」
- 「近隣との離隔はどのくらいか?クレーン・高所作業車は入るか?」
- 「将来、追加の設備や配管が乗る予定はあるか?」
このあたりを押さえてから、
「コスパ重視ならクサビ/剛性重視なら枠組」という話に入ると、
後からの設計変更や追加費用を減らすことができます。

8. ケーススタディ:選定ミスでコスト増になった例
要約:
足場の選び方を間違えると、
**“安く見えたはずが高くついた”**ということが起こります。
ケース:戸建て改修を枠組足場で組んだ例(私の実務経験)
- 木造2階建て、外壁塗装+一部サイディング張り替え
- 道路幅が狭く、トラックの横付けが難しい現場
元々、見積段階では「枠組足場でお願い」という話でした。
ところが実際には、
- トラック回送回数が増加
- 部材の上げ下ろしに時間がかかり、組立・解体ともに予定オーバー
- 近隣との離隔がギリギリで、追加の養生・調整作業が発生
結果として、「若干安く見えた材料単価」を、人件費と手戻りがすべて食ってしまいました。
正直なところ、この規模なら最初からクサビを提案すべきだったと反省した現場です。

9. 点検・記録・教育のポイント
要約:
どの足場を選ぶにしても、
点検・記録・教育をきちんと回せていない現場は、あとで必ず苦労します。
9-1. 点検と記録の基本
- 組立て・一部解体・変更後の点検者を指名
- 点検結果(不備の有無・是正内容)を書面またはデジタルで記録
- 記録は、一定期間(例:工事完了後も含めて)保存
これは、法令上の義務であると同時に、
元請・発注者への説明資料としても非常に有効です。
9-2. 教育(作業主任者・特別教育)
- 足場の組立て等には、足場の組立て等作業主任者の選任が必要(一定規模以上)
- 作業従事者には、特別教育・安全衛生教育を実施
- 新入社員や応援の職人さんには、現場ごとのローカルルールも共有
本記事は一般的な情報の提供であり、
具体の現場指示や設計の最終判断は、元請・有資格者との協議を前提としてください。
10. よくある質問(FAQ)

A. 戸建て・中小規模の現場では、クサビ足場がトータルコストで有利なケースが多いです。
ただし、高さ・荷重・風条件によっては枠組が妥当な場合もあるので、
設計・元請と相談の上で決めてください。
A. 足場の点検や点検結果の記録・保存は、
労働安全衛生規則の改正により義務として明確化されています。
「誰が・いつ・何を点検したか」が残っていないと、
是正指導の際に説明に苦労することが多いです。
A. 条件に合った足場を選べているかどうかが安全性を決めます。
高層・長スパンでは枠組足場、狭小・複雑な形状ではクサビ足場が向くことが多く、
どちらも正しく設計・施工・点検されていることが前提です。
A. 原則としてメーカー混用は不可と考えてください。
仮設工業会の認定基準や、各メーカーの仕様書・適合証明に従うことが求められます。
A. 完全に禁止ではありませんが、
幅1m以上の箇所では原則本足場とするなど、使用範囲が明確化されています。
狭小地などの例外でも、安全措置の強化が求められます。
11. コラム
最後に、同じく現場で情報発信をしている方のために、
このページのSEO/AdSense/YouTubeまわりのポイントも簡単に触れておきます。
- Core Web Vitals対策(INP)
- 2024年3月12日から、Core Web Vitalsの応答性指標はFID→INPに正式移行しました。
- このページは、CLSゼロ/不要JS削減/画像の遅延読み込み調整でINPの悪化を抑える構成にしています。
- Google検索(Helpful・スパムポリシー)
- 2024年3月のコアアップデートで、「Helpfulコンテンツ」がコアに統合され、
**スケールされた自動生成コンテンツやサイト評判悪用(いわゆる寄生SEO)**への対策が強化されています。 - そのため、本記事も一次経験と公的資料をベースにした「専門性+独自性」を意識して構成しています。
- 2024年3月のコアアップデートで、「Helpfulコンテンツ」がコアに統合され、
現場の情報発信でも、
**「Helpful+Core Web Vitals+eCPM」**の3点セットを意識すると、
ブログ・YouTube・AdSenseの相性がかなり良くなります。
12. まとめ:足場選びで現場の「余裕」をつくる
まとめの5点
- 枠組足場は、高層・大スパン・強風地域などで剛性と安心感を重視する現場に向いている。
- クサビ足場は、戸建てや中小規模現場で、工期短縮・人件費削減・柔軟な納まりに強みがある。
- 2024年の法改正で、一側足場の使用範囲や点検・記録の義務が明確化され、
どの足場でも「計画・点検・記録」が今まで以上に重要になった。 - コスパを見るときは、材料費+人件費+運搬+法令対応リスクまで含めた「現場トータル」で比較することが大切。
- 迷ったときは、この記事の足場比較チェックリストやExcelテンプレを使って、
数字と条件で冷静に比較するのがおすすめ。
現場で頑張るあなたへ|

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
現場で働く者として、
- 事故を出したくない
- コストも守りたい
- でも工期も詰まっている
そんな 「板挟みのもやもや」 を、私も何度も味わってきました。
足場は、目立たないけれど**現場の“土台の土台”**です。
ここで少しでも無理を減らせれば、
- 作業員さんのヒヤリが1つ減る
- 夜中の電話やクレームに悩まされる回数が1つ減る
- 工期とコストにちょっとした余裕が生まれる
そんな現場が、きっと増えていくはずだと思っています。
この記事が、
あなたの現場の安全とコスト削減、そしてスムーズな段取り作りの一助になれたら、
書き手としてこれ以上うれしいことはありません。
「この記事、役に立ったな」と少しでも感じていただけたら、
また別の記事も読みに来てください。
これからも、
- 現場でそのまま使えるチェックリスト
- 図面・積算の“裏側の考え方”
- 法改正の「現場目線での噛み砕き」
を、できるだけやさしい言葉で発信していきます。
あなたの現場が、今日より少しでも安全で、働きやすくなりますように。
そして、「ISHIDA DESIGN OFFICEのファンになったよ」と
どこかで思っていただけたら、とても励みになります。
参考・出典リスト(足場関係法改正・点検義務)
| タイトル | 出典 | |
|---|---|---|
| 足場からの墜落防止措置が強化されます(改正労働安全衛生規則) | 厚生労働省/秋田労働局(PDF) | |
| 足場の点検者の指名が必要です! | 広島労働局(PDF) | |
| 足場点検者の指名を義務付け/厚生労働省が2023年10月から | 調査記事(朝日新聞系) | |
| 本足場の定義について(安衛則第561条の2 解説) | 東北地方整備局・全国仮設安全事業協同組合資料 |
※最終更新日:2025年11月14日
👤この記事の執筆者/監修
ISHIDA DESIGN OFFICE
代表 I.D.O(仮設設計技術者/足場組立作業主任者)
- 建設業歴30年以上、仮設設計・点検・講義実績多数・仮設設計技術者
- 厚労省・仮設工業会の最新基準に基づき執筆
仮設設計・CAD作図・構造チェックのご依頼はこちら:
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