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【チェックシート付き】「クサビ足場の法令違反が招く罰則と責任|建設業法・労働安全衛生法に基づく最新2025年基準」

CAD クサビ足場の法令違反が招く罰則と責任|法律に基づく最新基準

足場は、現場で働くすべての人の命を守る「命綱」とも言える存在です。特にクサビ式足場は、その施工性の高さから多くの現場で採用されていますが、使い方を間違えると重大な事故につながる恐れもあります。

この記事では、2025年時点で最新の法令や技術基準に基づき、クサビ足場に関する違反のリスクとその防止策をやさしく、わかりやすく解説します。

クサビ足場とは?基本構造と特徴

クサビ足場(くさび式足場)は、支柱と手すりを「クサビ」で固定するシステム足場で、狭い現場でも素早く施工できる点が特長です。枠組足場に比べて軽量で柔軟性があり、住宅から中規模ビルまで幅広く使用されています。

しかし、施工の簡便さが裏目に出て、正しい知識や法令を無視した組み方をしてしまうケースが後を絶ちません。これが思わぬ事故や違反につながる要因となっています。

 

クサビ足場は安全
クサビ足場は安全

クサビ足場に関わる法令一覧(2025年対応)

 

クサビ足場は現場の安全を守るうえで、法令によって明確なルールが定められています。以下は、2025年時点で必ず押さえておきたい主要な法令です。

 

労働安全衛生法(安衛法)

  • 第21条:危険防止措置義務
  • 第88条:作業計画の届出義務
  • 第100条:罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)

労働安全衛生規則(安衛則)

  • 第564条〜第572条:足場の構造・手すり・幅・壁つなぎなどの詳細基準
  • 第14条:作業主任者の選任義務(高さ5m以上の足場)

建設業法

  • 第19条の4:主任技術者・監理技術者の配置義務
  • 第28条:瑕疵責任
  • 第29条〜:指導・監督・営業停止処分の根拠条文

出典:e-Gov法令検索
労働安全衛生規則(安衛則)
建築業法  

 

違反で問われる責任と罰則とは?

 

「少しぐらい大丈夫だろう」そんな油断が、大きな事故と責任につながることがあります。
ここでは、足場に関する法令違反が招くリスクを具体的に見ていきましょう。

労働基準監督署からの是正勧告・指導
業務上過失致死傷(刑法)による刑事責任
建設業許可の停止や取り消し(建設業法)
民事での損害賠償責任(民法・不法行為責任)

法令を守ることは、自分を守るだけでなく、仲間や家族、会社を守ることにもつながります。

 

法律厳守は現場と命を守る
法律厳守は現場と命を守る

 

違反しやすいポイントと実例

 

以下は、現場でよくある違反の例です。日々の点検と声かけで防げるものばかりです。

違反ポイント内容リスク
壁つなぎの間隔違反安衛則第570条で定められた基準(垂直5m、水平5.5m以内)を超える足場の転倒・倒壊
手すり未設置幅が40cm未満の場所に設置されていない作業員の転落
作業主任者の不在高さ5m以上の足場で選任されていない法令違反・指導対象
足場点検の未実施組立後・作業中・解体前に点検されていない労災事故の増加
違反しやすいポイントと実例
違反しやすいポイントと実例

遵守すべき最新の法令基準と安全対策(2025年版)

 

2024年以降、厚生労働省や仮設工業会は足場に関する安全基準を強化しています。現場で確実に守りたい項目をまとめました。

  • 壁つなぎの間隔:垂直5m以内、水平5.5m以内(労働安全衛生規則第570条第5項)
  • 作業床の幅:原則40cm以上。転落の恐れがある場所は2段手すりが必須
  • 開口部・端部の処理:メッシュシートや覆いを設置し、落下物を防止
  • 点検の記録:足場の状態確認と記録が必要(施工者・監督者)

出典:仮設工業会、厚労省 墜落・転落防止対策資料参照

 

遵守すべき最新の法令基準と安全対策
遵守すべき最新の法令基準と安全対策

 

 

以下にチェックシートを紹介します!
左側にはチェック項目右側には法律の根拠を示しています。

 

 

クサビ足場の建設業法・労働安全衛生法に基づく最新2025年基準

足場の壁つなぎが垂直5m以下、水平5.5m以内に設置されている[労働安全衛生規則 第570条 第1項5号(壁つなぎ等の設置)]
作業床の幅が40cm以上ある[労働安全衛生規則 第564条 第1項(作業床の幅員)]
作業床に段差や隙間がない[労働安全衛生規則 第564条 第2項(作業床の安全な構造)]
足場に二段手すりが設置されている[労働安全衛生規則 第565条 第1項(手すり等の設置)]
足場に転落防止のメッシュシートや囲いが施されている[労働安全衛生規則 第570条 第1項(墜落防止措置)]
開口部・端部に覆いや手すりがある[労働安全衛生規則 第570条 第2項(開口部・端部の処置)]
高さが5m以上の足場で、つり足場や張出し足場など構造上危険を伴うものに複数労働者を従事させる場合、作業主任者が配置されている[労働安全衛生規則 第14条 第1項・別表第1第1号(作業主任者の選任)]
高さ5m以上または構造が複雑な足場において、組立計画書が作成されている[労働安全衛生法 第88条 第1項、労働安全衛生規則 第88条 第1項(作業計画の届出)]
作業前にKY(危険予知)活動が実施されている[労働安全衛生法 第21条 第1項(危険防止措置の実施)]
使用前の足場点検が毎日行われている[労働安全衛生規則 第571条 第1項(足場の点検)]
足場点検結果が記録として残されている[労働安全衛生規則 第571条 第2項(点検結果の記録)]
解体前にも点検が行われている[労働安全衛生規則 第571条 第3項(解体時点検)]
支柱の沈下や傾きがない[労働安全衛生規則 第567条 第1項(支柱・壁つなぎの健全性)]
足場材の損傷(腐食・変形)がない[労働安全衛生規則 第564条 第2項(部材の破損確認)]
足元が水平で設置されている  [労働安全衛生規則 第567条 第1項(足元の設置条件)][労働安全衛生規則 第567条 第1項(足元の設置条件)]
交差筋交いなどの補強材が適切に取り付けられている[労働安全衛生規則 第567条 第2項(交差筋交い等補強)]
風対策が施されている(シートの結束、補強など)[労働安全衛生規則 第570条 第3項(風による危険の防止)]
墜落制止用器具(旧称:安全帯)の使用方法について、事前に使用者へ適切な指導が行われている [労働安全衛生規則 第518条(墜落制止用器具の使用)]
クサビの固定状態に緩みがない[労働安全衛生規則 第564条 第1項(クサビの確実な固定)]
足場周囲の通行路・避難経路が確保されている[労働安全衛生法 第21条 第1項(避難経路等の安全確保)]
足場の最大積載荷重が明記されている[労働安全衛生規則 第564条 第3項(積載荷重の明示)]
資材の置きすぎで荷重オーバーしていない[労働安全衛生規則 第564条 第4項(積載荷重の遵守)]
作業員に足場使用ルールの教育がなされている [労働安全衛生法 第59条 第1項、労働安全衛生規則 第35条(教育の実施)]
足場の変更・解体時に再点検が行われている[労働安全衛生規則 第571条 第4項(変更・解体時点検)]
主任技術者が配置され、法定業務として施工状況・安全状況の確認を行っている[建設業法 第19条の4 第1項、労働安全衛生法 第21条 第1項(技術者の配置・安全管理)]

 

上記の表をPDF版で準備しました。ご活用ください!

安全を守るために現場でできること

 

法令遵守は、現場を守る第一歩です。誰かがやるのではなく、あなた自身の行動が安全文化を作ります

  • 朝礼での法令共有と危険予知訓練(KY活動)
  • 新人作業員への安全教育とOJTの徹底
  • 点検チェックリストの掲示と記録の習慣化
  • 違反を見かけたら「声をかける勇気」を持つ

一人の行動が、チームの未来を守ります。

 

安全を守るために現場でできること
安全を守るために現場でできること

法令遵守がもたらす「安心と信頼」

 

法令を守ることで、現場に以下のような価値が生まれます:

  • 労災リスクの大幅低下と従業員の安心感向上
  • 元請・下請との信頼関係の構築
  • 行政からの是正・指導の回避
  • 保険・補償対応のスムーズ化

さらに、安全な現場は人材が集まりやすく、結果として利益にもつながります。

 

法令遵守がもたらす「安心と信頼」
法令遵守がもたらす「安心と信頼」

 

【まとめ】守ることが、未来を守る

法令を守ることは、単なる「義務」ではなく、自分自身と大切な仲間の命を守る行為です。違反すれば責任は重く、信頼も失われます。しかし、正しく守れば、安全という最大の価値を現場に届けられるのです。

まずは、この記事で紹介した違反ポイントと基準を「今日から自分の現場でチェックすること」から始めてみてください。安心は、あなたの一歩から生まれます。

 

 

この記事を書いた人

ISHIDA DESIGN OFFICE 代表 I.D.O 足場組立等作業主任者/仮設設計技術者

仮設計算歴30年以上。建設現場での足場設計・点検・安全管理業務に従事。
現在は仮設設計と安全な工事にアドバイスをしている

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